2026年現在、中学生の水泳授業はなくなりつつあるのでしょうか。実は、文部科学省の学習指導要領では中学1・2年生の水泳は必修領域として位置づけられている一方、全国の公立中学校では実技を実施していない学校が増えています。2026年7月21日に公表された調査結果では、中学校の22.8%が水泳の実技授業を実施していなかったことが明らかになりました。
背景にあるのは、学校プールの老朽化、猛暑による熱中症リスク、水質管理や安全管理に伴う教職員の負担です。一方、民間スイミングスクールへの委託、公営プールの共同利用など、授業を継続するための新しい仕組みも広がっています。必修なのに実技を行わないことは認められるのか、学校プールは本当に廃止されるのか。2026年の最新調査、文部科学省の資料、自治体の具体的な取り組みから検証します。
【まず結論】中学生の水泳授業は今も必修?学習指導要領の正しいルール

結論からいえば、中学1・2年生の水泳は、2026年現在も学習指導要領で必修の領域です。
ただし、ここで注意したいのは「水泳領域が必修であること」と「毎年、全生徒が必ずプールに入って実技を行うこと」は同じではないという点です。
文部科学省が定める中学校学習指導要領では、体育分野の内容に「D 水泳」が設けられています。水泳は単なる体力づくりではなく、水中での身体の動かし方や安全確保に必要な知識・技能を身につける学習として扱われています。
中学1・2年生は水泳領域が必修
学習指導要領の内容を整理すると、学年によって履修の扱いが異なります。
- 中学1年生: 水泳領域が必修。
- 中学2年生: 水泳領域が必修。
- 中学3年生: 水泳を含む複数の領域から選択して履修する仕組み。
中学1・2年生では、水泳という領域そのものは全生徒が履修することになっています。
一方、泳法については、クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの4種類すべてを一律に履修するわけではありません。1・2年生の2年間で、クロールまたは平泳ぎのいずれかを含む2種目を選択する仕組みです。
中学3年生では、器械運動、陸上競技、水泳、ダンスのまとまりから1領域以上を選択して履修できます。
この違いを理解しておくと、「中学校では3年間毎年必ず水泳をする」という認識が正確ではないことが分かります。
プールでの実技を省略できる例外もある
もう一つ重要なのが、適切な水泳場を確保できない場合の取り扱いです。
文部科学省の学習指導要領解説では、水泳の指導について、適切な水泳場の確保が困難な場合には実技を扱わないことができるとしています。
ただし、ここには明確な条件があります。
水泳の実技を省略できる場合でも、水泳事故の防止に関する心得は必ず取り上げなければなりません。
つまり、プールが老朽化して使えないからといって、水難事故防止に関する教育までなくしてよいわけではありません。
この規定は、施設事情に応じた柔軟な対応を認めながら、生徒の生命を守るための学習を維持する考え方です。
【2026年最新調査】中学校の22.8%が水泳実技を未実施!小学校との大きな差
2026年の水泳授業をめぐる議論で大きな注目を集めたのが、スポーツ庁による実態調査です。
2026年7月21日の松本洋平文部科学大臣の記者会見で、2025年度の水泳授業の実施状況が明らかになりました。
その結果は、学校種によって大きく異なっています。
2025年度の水泳実技未実施率
小学校0.4%
中学校22.8%
およそ5校に1校が実技を実施していない水準
この数字は、全国の中学校で水泳授業の実施環境に差が生じていることを示しています。
なお、文部科学大臣の説明では、自治体から回答のあった状況をもとに整理された数値です。単純にすべての学校を同一条件で調査した完全な全校悉皆統計と混同しないことも大切です。
水泳授業を実施できない学校が抱える課題
同調査について報じた2026年7月の報道では、中学校の水泳授業をめぐる施設・環境面の課題として、次の数字が紹介されています。
| 課題 | 割合 |
|---|---|
| 暑さへの対応 | 61.1% |
| プールの老朽化対策 | 約50% |
| 水質管理などの業務 | 約50% |
| 学校外プールへの移動時間・手段の確保 | 20%余り |
※施設・環境面の課題について、上位3つまで回答する形式の調査として報道された数値です。未実施校の理由だけを集計した割合ではありません。
特に目を引くのが、暑さへの対応が61.1%に達していることです。
水泳といえば、暑い夏に適したスポーツという印象があります。しかし、気温や湿度が高すぎれば、プールサイドでの待機や移動、屋外での活動自体が熱中症のリスクになります。
また、学校のプールが使えなくなった場合、代わりの施設を確保できるかどうかは自治体によって異なります。
近隣に民間プールがあっても、授業時間に利用できるとは限りません。送迎バスの確保、授業時間割の調整、施設側の受け入れ能力など、解決すべき問題が残ります。
2026年2月には国も持続可能な水泳授業の方針を提示
こうした状況を受け、スポーツ庁は2026年2月12日、「持続可能な水泳授業の実施に向けた参考資料」を教育委員会などに通知しました。
資料では、学校プールの老朽化、維持管理コスト、教職員の負担、計画的な授業実施の難しさなどを課題として整理しています。
加えて、学校間でのプールの共同利用、公営プールや民間プールの活用、外部指導者との連携などを具体的な選択肢として示しました。
国の方針は、学校プールを必ず維持することではありません。施設の形態を見直しながら、生徒の水泳学習の機会を確保する方向に動いています。
【未実施の理由】猛暑・学校プールの老朽化・教員不足が重なる構造問題
中学校で水泳の実技が実施されなくなる理由は、一つではありません。
施設の老朽化、維持費、教職員の負担、熱中症対策などが複雑に絡み合っています。
1. 学校プールの老朽化と修繕費の増加
全国の学校には、建設から長い年月が経過したプールが数多く残っています。
プールは水槽部分だけを維持すればよい施設ではありません。
安全に授業を行うには、次のような設備を適切に管理する必要があります。
- プール本体や防水設備
- 給排水管やろ過装置
- 水質管理設備
- プールサイドや更衣室
- 安全設備や救助用具
特に水漏れやろ過設備の故障が発生すると、修繕費用だけでなく、授業そのものを中止しなければならない場合があります。
草加市が2026年2月に公表した方針では、市内の学校プールに築40年以上の施設が多く、修繕費、保守費、水道代、薬品代などの維持費が課題になっていると説明しています。
同市では2023年度に、老朽化によってプールが使用できなくなった小学校で水泳授業を民間委託した経緯もあります。
学校プールは夏季を中心に使う施設です。年間を通じて利用する体育館などと比べ、稼働期間が限られる一方、施設の点検や維持管理には継続的な費用が発生します。
生徒数が減少している地域では、学校ごとにプールを維持する費用対効果も問題になります。
2. 猛暑による熱中症リスクと授業中止
2026年の調査で最も多く挙がった課題が、暑さへの対応でした。
プールの中にいるから熱中症にならない、というわけではありません。
屋外プールでは、強い日差しや高温多湿の環境にさらされます。プールサイドでの準備運動や説明、着替え、移動の時間にも注意が必要です。
また、気温が高い日には、プールの水温も上昇します。
そのため、学校では気温だけでなく、湿度や暑さ指数(WBGT)なども考慮しながら授業の実施可否を判断する必要があります。
草加市の方針でも、天候が良好であっても、猛暑による熱中症対策の観点から水泳授業を実施できない場合があると説明されています。
授業を安全に実施できない場合に中止する判断は、生徒の健康を守るうえで必要です。
しかし、年間の授業計画に余裕がなければ、振替授業を組めず、予定していた水泳学習の時間が減少する問題も生まれます。
3. 水質管理と安全管理が教職員の負担になる
学校プールの管理は、授業を担当する教員だけで完結する仕事ではありません。
水質の確認、設備点検、清掃、薬品管理など、授業前後にもさまざまな作業が必要です。
2026年2月のスポーツ庁の参考資料でも、プールの管理業務を教師以外が積極的に担うべき業務として位置づけ、民間事業者への管理委託や管理システムの導入などを紹介しています。
つまり、問題は教員が泳ぎを教えられるかどうかだけではありません。
施設管理と授業指導を同じ学校組織で担い続ける従来の仕組みそのものが、見直しの対象になっています。
【代替策の実像】中学校の民間プール活用・公営プール共同利用・外部委託
学校のプールを使わなくなった場合、水泳授業はどうなるのでしょうか。
2026年現在、各自治体では主に4つの方法が検討・導入されています。
1. 近隣の学校のプールを共同利用する。
2. 市営・町営などの公営プールを利用する。
3. 民間スイミングスクールの施設を利用する。
4. 水泳指導や施設管理を外部事業者に委託する。
スポーツ庁の参考資料でも、これらは持続可能な水泳授業を実施するための具体的な選択肢として整理されています。
2026年に確認できる自治体の取り組み
自治体によって、民間施設を利用する方法や授業の継続方針は異なります。
| 主体・自治体 | 取り組み | 実施時期・対象 |
|---|---|---|
| スポーツ庁 | 学校間の共同利用、公営・民間プール活用、外部指導者との連携を推進 | 2026年2月に参考資料を通知 |
| 京都市 | 民間スイミングスクールへの授業委託を試行 | 2025年度は9校、小学校7校・中学校2校 |
| 名取市 | 民間事業者による水泳指導とスクールバス送迎を導入 | 2026年度は中学校2校を含む5校 |
| 野洲市 | 小学校は民間屋内プールに集約、中学校のプール授業は廃止 | 小学校は2026年度、中学校は2027年度から |
それぞれの取り組みを詳しく見ていきます。
京都市:民間スクールと学校が連携して指導
京都市教育委員会
京都市は2024年度から、近隣のスイミングスクールなどに水泳授業を委託する試行事業を開始しました。
2025年度は小学校7校、中学校2校の計9校で実施し、成果と課題を検証する計画を公表しています。
特徴は、外部事業者に授業を丸投げする仕組みではないことです。
教員とインストラクターが一緒に授業を行い、インストラクターが専門的な泳法指導や助言を担当します。プールの監視は委託先の監視員が行います。
中学校では、1・2年生は各5回、3年生は各4回を基本とする指導計画が示されています。
名取市:中学校2校を加えた民間委託モデル
宮城県名取市
名取市では、建築からおおむね40年が経過し、老朽化が著しい学校のプールを対象に、水泳授業の民間委託を進めています。
2025年度は小学校3校で実施し、2026年度にはモデル事業として中学校2校を加えた計5校に拡大しました。
具体的には、次の仕組みです。
- 民間スイミングスクールのインストラクターが指導。
- 生徒の泳力に応じて3~4グループに分ける。
- 中学校は1回約70分の授業を3回実施する計画。
- 委託事業者のスクールバスで施設へ移動する。
2026年5月1日時点で、対象となる中学校は増田中学校と第一中学校です。
学校のプールを直接使わなくても、専門指導者と外部施設を組み合わせて授業を継続する具体例になっています。
野洲市:中学校のプール授業を2027年度から廃止
滋賀県野洲市
一方、すべての自治体が民間プールに移行して水泳授業を続けるわけではありません。
野洲市は2026年6月5日、市内の小中学校のプール水泳授業について方針を公表しました。
内容は次のとおりです。
- 小学校6校:2026年度から市内の民間・民営屋内プールに集約。
- 中学校3校:2027年度からプールでの水泳授業を廃止。
市は、猛暑による熱中症リスク、天候の影響、プール施設の老朽化、維持管理や水質管理に伴う教員の負担などを総合的に判断したと説明しています。
ここで重要なのは、野洲市の決定が全国一律の制度変更ではないことです。
あくまで自治体独自の施設運用方針です。中学校のプール授業を廃止するという決定と、国の学習指導要領そのものが水泳領域を廃止することは、まったく異なります。
民間委託と公営プール利用、それぞれのメリットと課題
| 方法 | メリット | 主な課題 |
|---|---|---|
| 学校間の共同利用 | 既存設備を効率的に活用できる | 授業時間の調整、拠点校の負担 |
| 公営プール | 公共施設を有効活用できる | 一般利用との調整、移動手段 |
| 民間プール | 屋内施設や専門設備を利用できる | 委託費、受け入れ枠の確保 |
| 外部指導者の活用 | 専門的な泳法指導が期待できる | 教員との役割分担、安全管理 |
民間委託で特に注意したいのは、インストラクターがいるからといって、学校側の責任がなくなるわけではないことです。
授業の目標設定、生徒の学習状況の把握、個別の配慮、安全確認などは、教員と外部事業者が連携して行う必要があります。
施設を持つことから、教育の質を維持することへ。水泳授業の仕組みは大きく変わり始めています。
【授業内容と安全管理】中学生は何を泳ぐ?水難事故防止の学習も重要
中学生の水泳授業は、単純に25メートル泳げるようになることだけを目的としているわけではありません。
文部科学省の中学校学習指導要領解説では、泳法の技能、知識、思考力、判断力、表現力などを関連させて学習することが示されています。
中学生が学ぶ主な泳法は4種類
クロール
手足の動きと呼吸のバランスを取り、速く泳ぐ。
平泳ぎ
手足の動きと呼吸を合わせ、長く泳ぐ。
背泳ぎ
背浮きの姿勢を保ち、手足の動きを連動させる。
バタフライ
手足の動きと呼吸を組み合わせて泳ぐ。
中学1・2年生では、小学校で学んだクロールや平泳ぎを発展させ、より効率的な泳ぎ方を身につけます。
例えば、クロールでは手のかき、キック、ローリング、呼吸動作を連動させることが学習の中心になります。
平泳ぎでは、手足の動きと呼吸のタイミングを合わせ、長く泳ぐことを目指します。
また、泳力には個人差があるため、同じ距離を全員に一律に求めるのではなく、生徒の体力や技能に応じた学習が重視されています。
泳げることだけでなく水難事故を防ぐ力を育てる
水泳授業の教育的意義として見落とせないのが、水難事故防止です。
文部科学省やスポーツ庁が重視しているのは、水の中で自分の身を守る知識と技能です。
具体的には、次のような学習が考えられます。
- 水中で落ち着いて行動するための知識。
- 背浮きなどを活用して水面で身体を保つ方法。
- 水泳場のルールや安全な利用方法。
- 水中での事故を防ぐための判断。
- 緊急時の応急手当や救助に関する知識。
学習指導要領解説では、学校や地域の実態に応じて、安全を確保するための泳ぎを取り入れることも示されています。
泳ぐ速さや距離だけを評価するのではなく、水の中で危険を回避する力を育てることも、水泳学習の大切な役割です。
外部プールを使う場合の安全管理はどうなる?
学校外のプールを利用する場合、通常の学校プールとは異なる安全上の確認が必要です。
スポーツ庁が2026年2月に示した参考資料では、次のような点が挙げられています。
1. プールの水深や形状、入水設備を事前に確認する。
2. 指導者、監視員、施設管理者の役割を明確にする。
3. AED、救命具、緊急通報手段の位置を確認する。
4. 施設全体を見渡せる監視体制を整える。
5. 生徒に安全上の注意事項を事前に指導する。
6. 保護者にも指導体制や安全対策を周知する。
特に重要なのは、指導と監視を混同しないことです。
水泳の指導に集中している教員が、同時にプール全体の監視まで十分に行うのは難しい場合があります。
そのため、指導者と監視担当者の役割を分け、複数の目で安全を確認する体制が大切です。
外部委託を導入した場合も、学校が生徒の学習状況を把握し、施設側と緊急時の対応を共有する必要があります。
【今後の焦点】中学校の水泳授業は廃止される?2026年以降の方向性
2026年の状況を見ると、中学校の水泳授業は全国一律に廃止されるというより、自治体や学校ごとに実施方法が分かれていく可能性があります。
すでに民間プールへの移行を進める自治体がある一方、施設を集約して学校間で共同利用する方法を検討する自治体もあります。
また、地域によっては学校でのプール授業そのものを終了する方針も出ています。
国が検討しているのは水泳学習の持続可能性
2026年3月27日の文部科学省の体育・保健体育に関するワーキンググループ資料では、学校プールの老朽化や屋外プールの暑さへの対応が課題として整理されています。
今後の検討事項には、次のような内容が含まれています。
- 水泳学習の内容や指導体系の見直し。
- 暑熱対策と施設・指導体制の整備。
- 安全確保につながる運動や心得の指導。
- 多様性を包摂する授業づくり。
- 教員の指導力向上と外部人材との連携。
これは、水泳の教育的意義をなくす方向ではなく、従来の施設・指導体制で授業を続けることが難しくなっている現状を踏まえた検討です。
学校プールを残すか、地域施設に集約するか
今後の判断では、学校ごとにプールを所有することが本当に最適なのかが問われます。
例えば、近隣に屋内公営プールがある地域なら、複数校で利用時間を分ける方法が考えられます。
民間スイミングスクールが近い場合は、専門インストラクターの指導を受けながら授業を実施する方法もあります。
反対に、周囲に利用可能な施設がなく、移動に長い時間がかかる地域では、学校プールの改修や更新が必要になる可能性があります。
スポーツ庁は、学校施設の整備に活用できる学校施設環境改善交付金についても案内しています。社会体育施設と公共施設の複合化・集約化に対する補助率の引き上げなど、施設を効率的に整備する仕組みも用意されています。
【プロの結論】水泳授業の存続を判断する3つの基準
2026年の動向から考えると、中学校の水泳授業を評価する際には、次の3点が重要です。
① 実技の学習機会が確保されているか
学校のプールを廃止しても、民間施設や公営プールで実技を行えるなら、水泳を学ぶ機会は維持できます。反対に、施設の廃止とともに実技の機会まで失われる場合は、学習内容の補完が必要です。
② 安全管理と教育の質を両立できるか
専門インストラクターを導入しても、教員が生徒の泳力や学習状況を把握する仕組みは必要です。監視体制、緊急時の対応、個別の配慮まで含めて判断する必要があります。
③ 地域の費用と移動負担が現実的か
民間委託には施設利用料や送迎費用がかかります。学校プールの維持費だけでなく、外部施設の利用料、バス代、授業時間の調整などを含めた総合的な比較が欠かせません。
水泳授業の価値は、学校にプールがあるかどうかだけでは決まりません。
大切なのは、生徒が水に親しみ、自分の身を守るための知識や技能を身につけられることです。施設の維持に固執するのでも、費用削減だけを理由に実技をなくすのでもなく、教育効果と安全性を中心に判断することが大切です。
【中学生の水泳授業】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:中学生の水泳授業は2026年現在も必修ですか?
中学1・2年生では、水泳領域が学習指導要領上の必修です。ただし、適切な水泳場の確保が困難な場合には実技を扱わないことが認められています。その場合も水泳事故防止に関する心得は必ず指導する必要があります。
Q2:中学校の22.8%が水泳授業を実施していないのはなぜですか?
主な背景は、猛暑による熱中症リスク、学校プールの老朽化、水質管理や施設管理の負担、安全確保、教員の指導体制などです。また、学校外のプールを利用する場合には、移動手段や時間割の調整も課題になります。
Q3:中学校の水泳授業が廃止される自治体はありますか?
あります。滋賀県野洲市は2027年度から市内の中学校3校でプールの水泳授業を廃止する方針を2026年6月に公表しました。ただし、これは自治体独自の決定であり、全国の中学校に一律適用される制度ではありません。
Q4:中学生の水泳授業では何を習いますか?
主にクロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライなどの泳法を学びます。中学1・2年生では、クロールまたは平泳ぎを含む2種目を2年間で選択して履修します。また、水中での安全確保や事故防止に関する学習も行います。
Q5:民間スイミングスクールに授業を委託すると教員は不要になりますか?
いいえ。外部インストラクターが専門的な指導を担当する場合でも、教員は学習目標の共有、生徒の学習状況の把握、安全管理などに関わります。施設管理や指導の一部を外部に委託することと、学校の教育上の役割がなくなることは別です。
まとめ:中学生の水泳授業は廃止ではなく実施方法の転換期へ
2026年現在、中学校の水泳授業は学習指導要領上、中学1・2年生の必修領域として位置づけられています。
一方、2026年7月に明らかになった調査では、2025年度に水泳実技を実施していない中学校が22.8%に達しました。
その背景には、学校プールの老朽化、猛暑による熱中症対策、教職員の管理負担、施設の維持費など、学校だけでは解決しにくい構造的な問題があります。
こうした課題に対して、京都市や名取市では民間施設と専門指導者を活用した授業が進められ、野洲市では中学校のプール授業を2027年度から廃止する方針が示されました。
今後は、学校プールを維持するかどうかだけでなく、公営プールの共同利用、民間施設への外部委託、屋内施設の活用などを含めた柔軟な判断が広がると考えられます。
中学生の水泳授業で本当に守るべきなのは、学校のプールという設備ではなく、生徒が水の中で自分の命を守るための学習機会です。
実技を継続する学校も、施設を集約する自治体も、最終的には教育効果、安全性、地域の実情という3つの視点から、その方法が適切かを検証する必要があります。
2026年は、中学校の水泳授業が単なる夏の体育行事から、地域全体で支える教育環境へと変わっていく重要な転換点になっています。