最も大きな違いは、設置法人と学校のルーツです。長崎校はカトリック・マリア会の教育的伝統を受け継ぎ、四日市校はエスコラピオス修道会の教育理念を背景に発展してきました。
長崎市の海星中学校・海星高等学校
長崎校の所在地は長崎県長崎市東山手町5番3号です。運営するのは学校法人海星学園で、カトリック・マリア会が経営するミッションスクールとして知られています。
創立は1892年(明治25年)。フランス人のマリア会員ジャック・バルツによって、長崎市浪ノ平に海星学校として設立されました。1895年には現在の東山手に移転しています。
その後、1968年には6年制一貫コースを創設。高校は2006年、中学校は2010年に男女共学となりました。現在は中学校・高校を通じた教育を展開しています。
校訓は「神愛・人間愛」。単なる学力向上だけでなく、自分を見つめ、他者を尊重し、社会に奉仕できる人間を育てることを教育の根幹に置いています。
三重県四日市市の海星中学校・海星高等学校
四日市校の所在地は三重県四日市市追分1丁目9番34号。設置法人は学校法人エスコラピオス学園です。
学校法人の設立認可は1955年3月18日。同年に海星高等学校を開校し、1956年に海星中学校を設置しました。1972年には6年制一貫教育コースを開始しています。
教育の背景にあるのは、1597年にローマで聖ヨセフ・カラサンスが創設した教育修道会、エスコラピオス会です。貧しい子どもにも教育の機会を提供するという創立者の理念が、学園の教育精神につながっています。
建学の精神は、キリスト教的世界観に基づいて人類普遍の価値を尊重する人格を形成し、社会に貢献する人材を育成することです。
【一目で分かる比較表】所在地・設置法人・教育理念の違い

2校を混同しないためには、学校名ではなく、住所と設置法人をセットで覚えるのが確実です。特に受験情報や学費を調べる際には、公式サイトのドメインも確認したいところです。
出典:学校法人海星学園公式資料、エスコラピオス学園公式資料。
この表から分かるのは、両校が同じカトリック系の学校であっても、教育を受け継いできた修道会が異なるということです。
「海星」という校名だけを手掛かりに検索すると、四日市校のダブルディプロマ科の学費を長崎校の学費と取り違えたり、長崎校の進学実績を四日市校の実績と誤認したりする可能性があります。
受験情報を探す場合は、学校名に「長崎」「四日市」を付けて検索することが、最初の基本です。
【中高一貫教育とコースを比較】6年間の学びと高校からの進路選択
両校とも6年制教育を実施していますが、コースの設計には明確な違いがあります。特に四日市校には、カナダの高校卒業資格も取得できる独自のダブルディプロマ科があります。
長崎校:ステラ・マリス、エラン、フロンティア
長崎校の高校教育は、主に3つのコースで構成されています。
ステラ・マリスコース
難関国公立大学や難関私立大学への進学を視野に入れ、密度の高い授業と課外学習によって論理的思考力や表現力を育てるコースです。
公式の教育システムでは、年間200日以上の授業日数、週35時間の授業時間を確保する取り組みが紹介されています。主要5教科の基礎を固めた後、文系・理系に分かれて志望大学に応じた学習を進めます。
エランコース
学習と部活動の両立を目指すコースです。6校時を基本とした効率的なカリキュラムで、大学進学、専門学校、公務員など幅広い進路を考えます。
学校推薦型選抜や総合型選抜にも対応し、生徒の希望に合わせて進路を設計できる点が特徴です。
フロンティアコース
生徒の個性や適性を生かした進路選択を重視します。大学進学だけでなく、スポーツ、専門学校、公務員、民間企業への就職など、多様な進路を想定しています。
カレッジ系列、アスリート系列、ミッションスペシャリスト系列などがあり、進路目標に応じた学びを組み立てます。
四日市校:6年制特別教育コースと3年制コース
四日市校では、中学校から高校まで進む6年制の特別教育コースと、高校から入学する3年制のコースが設けられています。
1.特別教育コース(6年制)
中学1・2年、高校への接続期、高校2・3年という3つのステージを意識した教育設計です。
英語・数学の習熟度別授業、探究学習、キャリア教育などを組み合わせ、早期に高校課程の学習を導入することで、大学受験に向けた準備を進めます。
放課後には教員が常駐する自習環境も設けられ、午後7時まで学習できる仕組みがあります。
2.国際数理コース
国際的な課題を数理的な視点から考え、英語によるコミュニケーションや異文化理解を深めるコースです。
SDGsに関する課題を題材に、情報収集、議論、分析、解決策の提案などに取り組みます。理数系の学習だけでなく、国際社会で必要となる表現力も育成の対象です。
3.進学特別コース
大学進学を目標に、学習習慣の確立と教科学習の充実を図ります。高校2年では文系・理系を選択し、高校3年では志望進路に応じたカリキュラムで学習します。
社会課題を自分事として捉える「よのなか科」や、チームで探究する「高校生Ring」なども取り入れています。
4.進学コース
高校3年間で基礎学力を伸ばしながら、大学進学やその他の進路を目指すコースです。2027年度募集では男子のみが対象となっています。
特に注目されるダブルディプロマ科とは?
ダブルディプロマ科は、四日市校の特色を理解するうえで欠かせない教育プログラムです。
日本の高校教育とカナダ・ブリティッシュコロンビア州の教育課程を組み合わせ、卒業時に日本とカナダ、2つの高校卒業資格を取得することを目指します。
同校の公式説明では、授業の60%以上がオールイングリッシュです。日本の教育を受けながら、カナダの教育課程に沿った学習を進めます。
また、海星高校とカナダのオフショアスクール「Kaisei Canadian Double Diploma School(KCDDS)」に同時に在籍し、日本の教員とブリティッシュコロンビア州認定教員による授業を受ける仕組みです。
卒業後は、日本国内だけでなく海外大学への進学も選択肢になります。ただし、英語を学ぶ一般的な国際コースとは異なり、カナダの教育課程を履修するため、英語で学ぶ力と継続的な学習姿勢が大切です。
【偏差値・口コミ評判を検証】海星中学校の難易度と学校選びの注意点
受験生や保護者が気になるのが偏差値と口コミです。両校の偏差値は同じ学校のデータではなく、それぞれ別の受験市場における目安として読む必要があります。
中学校の偏差値と口コミ評価
受験情報サイト「みんなの中学校情報」に掲載されている2027年度の偏差値・口コミ評価は次のとおりです。
長崎市・海星中学校49~50
口コミ14件・2027年度偏差値の掲載値
四日市市・海星中学校46~48
口コミ7件・2027年度偏差値の掲載値
出典:みんなの中学校情報。偏差値は模試等を基にした民間サイトの参考値で、学校公式の合格基準ではありません。
数字だけを見ると長崎校の掲載偏差値がやや高いものの、これだけで学校の教育内容や卒業後の進路の優劣を判断することはできません。
また、口コミの母数は長崎校14件、四日市校7件です。投稿者の学年や入学年度、評価した項目も異なるため、単純な点数比較には限界があります。
実際の口コミから読み取れる評価ポイント
長崎校については、保護者の口コミで、先生と生徒の距離の近さ、学校行事への積極的な参加、生徒の自主性などが評価されています。一方、学習面では塾との併用を意識する保護者の声も見られます。
四日市校では、放課後学習の環境、教員に質問しやすい体制、部活動の選択肢などが評価される一方、学校生活や生徒間の人間関係について異なる評価も投稿されています。
特に四日市校の中学校口コミは7件と少なく、少数の評価だけで学校全体の雰囲気を決めつけることはできません。
四日市校の高校偏差値はコースによって違う
四日市校の高校については、民間受験情報サイトの2026年度版で、普通科の偏差値が45~60と掲載されています。
- 国際数理コース:60
- 進学特別コース:53
- 進学コース:45
この幅はコースごとの入試難度の違いを反映したものです。中学校の偏差値と高校の偏差値を混ぜて比較しないようにしましょう。
また、ダブルディプロマ科は独自の選抜制度があるため、普通科の偏差値だけで難易度を判断するのは適切ではありません。
【2027年度入試・学費・奨学金】2026年11月時点の最新情報
2026年11月3日時点では、両校とも2027年度(令和9年度)の募集情報を公開しています。ただし、入試日程や納付金は同じではありません。
長崎校の2027年度中学入試
長崎校の2027年度募集要項では、募集人員は男女80名です。特別入試、育成入試、一般入試の4つの試験区分が設けられています。
- 特別入学試験Ⅰ:2026年11月28日(土)
- 特別入学試験Ⅱ:2026年11月28日(土)
- 育成入学試験:2026年11月29日(日)
- 一般入学試験:2027年2月6日(土)
出願はインターネット方式で、特別入試と育成入試は2026年11月1日から20日までの入力期間が設定されています。一般入試は2027年1月1日から2月2日までです。
特別入試Ⅰは国語・算数・理科・社会の4教科型。特別入試Ⅱは総合学力検査、作文、集団面接を組み合わせた方式です。育成入試では4教科の基礎学力試験と面接、一般入試では国語・算数と親子面接が実施されます。
受験料は7,000円です。
長崎校の学費と育英奨学生制度
2027年度募集要項に記載された校納金は、2026年度の参考実績として次のようになっています。
- 入学金:70,000円
- 月額授業料:22,800円
- 月額施設設備費:9,500円
- 月額教育充実費:3,500円
- 月額合計:35,800円
- 入学時教育整備費:30,000円
月額35,800円には授業料以外の費用も含まれます。また、制服代やその他の費用については別途確認が必要です。
奨学制度には育英奨学生A・B・Cの区分があり、Aは入学金と授業料を奨学費として給付、Bは授業料の半額、Cは月額8,000円を給付する仕組みです。選考や年度ごとの審査があるため、該当条件を募集要項で確認してください。
四日市校の2027年度中学入試
四日市校の6年制特別教育コースは、2027年度に男女3クラスを募集します。
- 特別選抜:2027年1月5日(火)
- 前期入試:2027年1月9日(土)
- 後期入試:2027年2月11日(木)
- 受験料:15,000円
特別選抜と後期入試は専願、前期入試は専願・併願に対応しています。前期入試は国語・算数・理科・社会が基本で、希望者は英語も受験できます。
特別選抜と後期入試では、国語・算数に加えて面接または自己PRを行う方式が設けられています。
英検2級以上などの英語資格を持つ合格者や、入試成績が一定基準を満たす受験生に対する奨学金制度もあります。対象となる入試区分や条件はそれぞれ異なります。
四日市校の学費
6年制特別教育コースの2027年度募集要項では、次の納付金が示されています。
- 入学金:50,000円
- 施設費:200,000円
- 年度初めの納入金:10,800円
- 月額授業料:42,000円
- 現地研修積立金:月額10,000円
- 月額合計:52,000円
高校進学時には、さらに入学金50,000円と施設費100,000円が必要です。制服代や副教材費も別途かかります。
高校の3年制普通科は、授業料が月額42,000円。現地研修積立金を加えると、国際数理コースは月額57,000円、進学特別コースと進学コースは月額49,000円です。
一方、ダブルディプロマ科は授業料が月額100,000円、卒業積立金を含めると月額102,000円です。教材費やカナダ短期研修の旅費なども別途必要になります。
この金額差は、単純な授業料の違いではなく、カリキュラムや海外教育プログラムの違いを反映しています。
なお、四日市校では国・県の校納金助成制度や成績優秀者向けの奨学金制度も案内されています。家計負担を計算するときは、助成適用後の金額も学校に相談するとよいでしょう。
2027年度高校入試の主な日程
四日市校の高校普通科は、推薦入試が2027年1月16日(土)、一般入試が1月25日(月)です。一般入試の出願情報入力期間は2026年12月7日から21日、出願期間は2027年1月7日までとなっています。
ダブルディプロマ科は、海外在住者向けの第1回試験が2026年11月6日(金)、国内在住者向けの第2回試験が2027年1月25日(月)です。第2回の募集は専願・併願に対応していますが、普通科へのスライド合格はありません。
長崎校も2027年度高校募集要項を公式サイトで公開しています。高校受験を考えている場合は、中学校の募集要項とは別に、高校用の最新資料を確認する必要があります。
【大学合格実績とオープンスクール】進路選択で見るべきポイント
学校を比較する際には、大学合格実績も大切な判断材料です。ただし、両校では公表方法が異なります。合格者数が掲載されている学校と、合格大学名を中心に掲載している学校を、数字だけで比較するのは避けたいところです。
長崎校の2025年度大学合格実績
学校法人海星学園が公表した令和7年度の大学入試実績では、国公立大学の合格者数は次のとおりです。
長崎校・令和7年度実績33
国立大学21
公立大学26
大学校など
国公立大学・準大学合計80名
現役79名、既卒1名。防衛大学校の一次合格を含む。
主な合格先には、大阪大学、九州大学、広島大学、佐賀大学、長崎大学などがあります。
特に長崎大学は12名、九州大学は2名、大阪大学は1名の合格が公表されています。公立大学では長崎県立大学8名など、地域の大学から全国の大学まで幅広い進学実績が確認できます。
私立大学では上智大学3名、同志社大学2名、関西大学3名、近畿大学7名、西南学院大学11名などの合格者も掲載されています。
四日市校の2025年度卒業生の大学合格実績
四日市校の公式進路実績では、2025年度卒業生の合格先として、国公立・私立・海外大学が紹介されています。
国公立大学では、名古屋大学、東京学芸大学、電気通信大学、三重大学、静岡大学、信州大学、富山大学、滋賀大学などが掲載されています。
私立大学では、上智大学、東京理科大学、中央大学、学習院大学、法政大学、同志社大学、関西大学、立命館大学、南山大学などが挙げられています。
海外大学として北京外国語大学も掲載されています。
この実績からは、東海地方の大学を中心としつつ、関東・関西の有力私立大学や海外大学まで進路が広がっていることが分かります。ただし、公式ページの掲載形式は合格先の大学名が中心で、学校全体の合格者総数は同ページからは判断できません。
2026年11月のオープンスクール・学校説明会
学校選びでは、偏差値や進学実績だけでなく、実際に校舎を訪れ、授業や生徒の雰囲気を確かめることが大切です。
長崎校
11月7日(土)高校入試説明会
午前・午後の2部制。11月14日~12月5日には高校個別相談会も案内されています。
中学校の入試イベントや説明会は別日程です。
四日市校
11月8日(日)6年制学校説明会
学校説明と2027年度入試についての案内が予定されています。
3年制高校の説明会は10月31日に開催されました。
説明会では、次の点を確認すると学校選びの精度が高まります。
- 中学校から高校への内部進学の仕組み
- コース変更や進級時の選択条件
- 授業時間数と放課後学習の実態
- 部活動と学習を両立できる環境
- 大学進学に向けた指定校推薦や海外大学進学の支援
- 授業料以外に必要な年間費用
- 通学時間や交通費
どちらの学校が向いている?
両校の特色を踏まえると、次のような判断基準が考えられます。
長崎校が向いている家庭
- 長崎市周辺で中高一貫教育を受けさせたい
- 「神愛・人間愛」の教育理念に共感できる
- ステラ・マリスなどの進学コースに関心がある
- 学習だけでなく、地域や学校行事を通じた人間形成も重視したい
四日市校が向いている家庭
- 三重県北部や四日市周辺で中高一貫教育を検討している
- 国際数理や進学特別コースに関心がある
- ダブルディプロマ科で日本・カナダ両方の卒業資格を目指したい
- エスコラピオス会の教育理念や探究学習に魅力を感じる
一方、海外カリキュラムへの適応や英語での授業に負担を感じる場合、ダブルディプロマ科以外の選択肢も含めて比較する必要があります。また、どちらの学校でも通学時間や学費を6年間の総額で考えることが重要です。
【海星中学校高等学校に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:長崎と四日市の海星中学校は姉妹校ですか?
A1:同じカトリック系の学校という共通点はありますが、設置法人と教育修道会が異なる別々の学校です。長崎校は学校法人海星学園、四日市校は学校法人エスコラピオス学園が運営しています。
Q2:海星中学校の偏差値はどれくらいですか?
A2:民間受験情報サイトの2027年度掲載値では、長崎校が49~50、四日市校が46~48です。模試などを基にした参考値であり、入試の合格基準そのものではありません。
Q3:ダブルディプロマ科があるのはどちらですか?
A3:三重県四日市市の海星高等学校です。日本とカナダ・ブリティッシュコロンビア州の高校卒業資格を取得することを目指す教育課程です。長崎校の高校コースとは異なります。
Q4:長崎校と四日市校の学費は同じですか?
A4:異なります。長崎校の中学校は2026年度参考で月額35,800円、四日市校の6年制コースは月額52,000円です。入学金や施設費、研修費なども異なるため、募集要項の確認が必要です。
Q5:2027年度の中学入試はいつですか?
A5:長崎校は2026年11月28日・29日と2027年2月6日、四日市校は2027年1月5日・9日と2月11日に試験を予定しています。試験方式や出願条件も異なります。
まとめ:海星中学校高等学校は所在地と設置法人で見分けることが大切
「海星中学校高等学校」という同じ校名でも、長崎市と三重県四日市市の学校は、歴史、運営法人、教育理念、コース編成、入試制度、学費が異なります。
長崎校は1892年創立の学校法人海星学園が運営し、「神愛・人間愛」を校訓とするカトリック・マリア会の伝統を受け継いでいます。6年制一貫教育とステラ・マリス、エラン、フロンティアの3コースが特徴です。
四日市校は学校法人エスコラピオス学園が運営し、6年制特別教育コース、国際数理コース、進学特別コース、進学コースに加えて、日本とカナダの卒業資格を目指すダブルディプロマ科を設けています。
学校選びで最も大切なのは、偏差値の高低だけではなく、子どもの将来像と教育内容が合っているかどうかです。
2027年度の受験を考えている家庭は、住所・設置法人・募集要項・学費の4点を最初に照合し、オープンスクールや個別相談会で実際の教育環境を確認してください。6年間の学校生活を見据えた判断が、入学後のミスマッチを防ぐことにつながります。