海底火山が噴火すると、海面から巨大な噴煙が立ち上がるだけでなく、津波、気圧波、軽石の漂流、火山ガスの放出など、海上から遠く離れた沿岸地域にまで影響が及ぶことがあります。噴火の規模や発生する水深によっては、新しい島が誕生する一方、数か月後には波によって消滅してしまうこともあります。
2026年11月2日時点で注目されるのが、小笠原諸島の南硫黄島付近にある海底火山「福徳岡ノ場」です。2026年9月17日には海上保安庁が濃い黄緑色の変色水を確認し、8月3日には間欠的な気泡の噴出も観測しました。気象庁は周辺海域への警戒を継続しています。海底火山の噴火で何が起きるのか、2026年の最新観測、過去の被害、津波への備えまで整理します。
【基本知識】海底火山が噴火する仕組みとは?水中で起きる爆発の正体

海底火山の噴火は、地下から上昇してきたマグマが海底付近に到達することで始まります。
陸上の火山と大きく異なるのは、噴火口の周囲を大量の海水が取り囲んでいることです。マグマと海水が接触すると、急激な加熱によって水が水蒸気に変わり、膨張することで爆発的な現象を引き起こす場合があります。
ただし、すべての海底火山が激しい爆発を起こすわけではありません。水深が深い場所では、上にある海水の圧力によって水蒸気の膨張や爆発が抑えられることがあります。
米国地質調査所(USGS)の海底火山に関する解説でも、深海では水圧によって噴火の爆発的な性質が抑制される一方、浅い海では海水とマグマの相互作用によって激しい水蒸気爆発が起きる可能性が指摘されています。
海底火山噴火が起きるまでの流れ
主な仕組みは次のとおりです。
1. マグマの上昇: 地下に存在するマグマが火道や割れ目を通って海底に近づく。
2. 海水との接触: マグマと海水が接触し、急激な加熱や水蒸気の発生が起こる。
3. 爆発・噴出: 条件が整うとマグマや岩石が細かく砕かれ、海水とともに噴出する。
4. 海面への影響: 噴煙、浮遊物、変色水、場合によっては津波などが発生する。
5. 地形の変化: 火山噴出物が堆積して海底が盛り上がり、新しい陸地が形成されることもある。
特に注意したいのが、海底火山の水深です。
浅い海では海水とマグマの接触による爆発が起こりやすく、噴石やベースサージなどの危険が生じます。一方、深海では噴火が発生していても、海面に明確な変化が現れないケースがあります。
つまり、海面が静かだからといって、海底で火山活動が起きていないとは限りません。
海底火山と陸上火山は何が違う?
| 比較項目 | 海底火山 | 陸上火山 |
|---|---|---|
| 周囲の環境 | 海水に囲まれている | 大気に接している |
| 噴火の特徴 | 水蒸気爆発やマグマ水蒸気噴火が起こる場合がある | 爆発的噴火や溶岩流など |
| 主な危険 | 津波、気圧波、軽石、ベースサージ | 降灰、火砕流、溶岩流など |
| 噴火の確認 | 衛星、航空機、海洋観測など | 監視カメラ、地震計、衛星など |
| 地形への影響 | 新島の形成や海没 | 火口や山体の形成・変化 |
【影響を解説】海底火山が噴火するとどうなる?津波・気圧波・軽石の5大現象
海底火山が噴火した場合、どのような被害が発生するのでしょうか。
重要なのは、噴火による影響を一つの現象として考えないことです。津波、気圧波、噴煙、火山ガス、軽石では、発生する仕組みも被害が及ぶ範囲も異なります。
1.海底の変化や爆発によって津波が発生する
海底火山の噴火では、地震が発生していなくても津波が起きることがあります。
主な原因は次のとおりです。
- 海底の隆起や沈降による海水の移動
- 火山体の崩壊による大量の土砂の移動
- 海底地すべり
- 爆発による海水の急激な変動
海底が急激に持ち上がったり沈み込んだりすると、その上にある海水も動かされます。その変動が周囲へ伝わることで津波になります。
また、火山体の一部が崩れて大量の岩石や土砂が海中に流れ込んだ場合も、海水が押し出されて津波を発生させる可能性があります。
気象庁は、2021年の福徳岡ノ場の噴火を日本近海の海底噴火に伴う津波の事例として紹介しています。
ここで知っておきたいのは、海底火山の噴火による津波は、通常の地震津波と同じ方法で事前予測できるとは限らないという点です。
地震津波は地震計で観測した揺れから震源や規模を推定し、津波の到達時刻や高さを予測します。
しかし、火山現象による津波では、発生メカニズムそのものを事前に把握できない場合があります。そのため、実際の潮位観測を踏まえて津波警報などが発表されることがあります。
2.巨大噴火によって気圧波が発生する
海底火山の大規模噴火では、海面だけでなく大気にも影響が及びます。
爆発によって生じた空気の圧力変化が、気圧波となって周囲へ伝わるためです。
この気圧波が海面に作用すると、通常の津波とは異なる仕組みで海面変動が発生することがあります。
代表的な事例が、2022年1月15日に発生した南太平洋のフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火です。
この噴火では、巨大な気圧波が地球規模で伝わり、日本でも通常の地震津波とは異なる潮位変化が観測されました。
気象庁によると、日本の太平洋沿岸では高いところで1mを超える潮位変化が観測されています。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)は2022年12月の研究発表で、この現象について大気波動であるラム波とペケリス波が重要な役割を果たしたと説明しています。
加えて、気圧の変動が海洋の波と同じ速度で伝わることで、海面に効率よくエネルギーが伝わる「プラウドマン共鳴」も増幅に関係しました。
このような現象は気象津波と呼ばれます。
つまり、火山噴火による津波は、海底の地形変化だけで発生するものではありません。大気を通じた影響が、遠く離れた海岸の潮位変化につながることもあります。
3.軽石が海流に乗って遠方まで漂流する
海底火山の噴火で発生する軽石も、見逃せない被害要因です。
軽石は、マグマが急速に冷却される過程などで内部に多くの気泡を含んでできる岩石です。密度が低いため、水面に浮かぶ性質があります。
大量に噴出すると、海面に軽石が集まり、筏のような大きな集団を形成します。これを「軽石筏」と呼びます。
その後、海流や風によって長距離を移動します。
漂流した軽石が港湾に流れ込むと、次のような問題が発生します。
- 船舶の航行障害
- 漁港や港湾施設への堆積
- 船舶エンジンの冷却系統への侵入
- 漁業活動への支障
- 離島航路や物流への影響
2021年の福徳岡ノ場噴火では、この軽石による被害が実際に発生しました。
産業技術総合研究所の調査によると、噴出した軽石は約2か月かけて約1300km離れた南西諸島に漂着しました。
軽石の漂流は、噴火地点から遠く離れた地域にも影響を及ぼすことを示した代表的な事例です。
4.噴煙と火山ガスが大気や周辺環境に影響する
海底火山の噴火が大規模になると、噴煙が海面を突き抜けて上空へ広がる場合があります。
噴煙には火山灰や細かな岩石の破片、水蒸気、火山ガスなどが含まれることがあります。
火山ガスの主な成分は、水蒸気、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化炭素などです。
気象庁の火山ガスに関する解説では、二酸化硫黄は呼吸器への刺激や気管支への影響を引き起こす可能性があり、硫化水素は高濃度で中毒や呼吸障害につながるとされています。
噴煙の高さや風向きによっては、火山灰やガスが遠方まで運ばれることもあります。
また、大量の火山灰が上空に広がれば、航空機の運航にも影響が出る可能性があります。
ただし、海底火山の噴火で必ず巨大な噴煙が発生するわけではありません。水深や噴火規模によって、海面に現れる現象は大きく異なります。
5.ベースサージという危険な現象が発生する
海底火山の噴火で特に注意したい現象が「ベースサージ」です。
ベースサージとは、マグマ水蒸気噴火などによって発生する、火山ガスや細かな噴出物を含んだ希薄な流れが、噴煙から側方へ高速で広がる現象です。
気象庁はこれを火砕サージの一種として説明しています。
一般的な噴煙が上空へ立ち上がるのに対し、ベースサージは水平方向にも広がります。
高温のガスや噴出物を伴うため、周辺にいる人や船舶にとって非常に危険です。
1952年の明神礁の噴火は、ベースサージが発生した代表的な事例として知られています。
福徳岡ノ場についても、気象庁は周辺海域でのベースサージや大きな噴石への警戒を呼びかけています。
【2026年最新情報】福徳岡ノ場の現在は?噴火・変色水・気泡の観測記録
2026年の海底火山活動を理解するうえで、重要な観測対象となるのが福徳岡ノ場です。
福徳岡ノ場は、東京都の小笠原諸島にある南硫黄島の北東約5kmに位置する海底火山です。
海上保安庁の海域火山データベースによると、最浅部の水深は約25m。比較的浅い場所に火山体が存在しています。
過去には噴火によって新島を形成したこともあり、軽石を大量に噴出した実績もあります。
2026年の観測で何が確認された?
2026年は、福徳岡ノ場周辺で変色水や気泡の噴出が複数回観測されています。
海上保安庁の2026年10月7日更新の海域火山データベースには、次の記録が掲載されています。
| 観測日 | 確認された現象 | 観測内容 |
|---|---|---|
| 2026年1月29日 | 変色水 | やや濃い黄緑色の変色水 |
| 2026年2月26日 | 変色水 | 直径約3.6kmにわたり黄褐色・黄緑色の変色水 |
| 2026年4月16日 | 変色水・浮遊物 | 黄緑色の変色水と少量の筋状浮遊物 |
| 2026年6月15日 | 変色水 | 薄い緑色の変色水 |
| 2026年8月3日 | 気泡の噴出 | 数分間隔で間欠的な気泡を確認。軽石などの固形物は確認されず |
| 2026年8月17日 | 変色水 | 薄い緑色の変色水 |
| 2026年9月17日 | 変色水 | 濃い黄緑色の変色水 |
特に注目したいのが、8月3日の観測です。
海上保安庁は、福徳岡ノ場で数分間隔の気泡の噴出を確認しました。一方、軽石などの固形物は確認されていません。
さらに9月17日には、濃い黄緑色の変色水が確認されています。
これらは海底からの熱水や火山活動に関連する現象を把握するうえで重要な観測情報です。ただし、気泡や変色水が確認されたことだけで、大規模噴火が直ちに発生するという意味ではありません。
気象庁が発表した2026年9月の活動評価
気象庁が2026年10月に公表した9月分の火山活動解説資料では、次の内容が示されています。
- 2021年8月下旬以降、噴火は確認されていない。
- その後も変色水域が確認されている。
- 火山活動は継続しており、今後も噴火する可能性がある。
- 周辺海域では大きな噴石やベースサージに警戒が必要。
- 噴火による軽石などの浮遊物にも注意が必要。
また、気象庁によると、2026年9月17日の海上保安庁の上空観測では濃い黄緑色の変色水が確認されています。
つまり、2026年の福徳岡ノ場は、噴火が継続している状態ではないものの、火山活動に関連する現象が観測されている状況です。
福徳岡ノ場の警報はどうなっている?
2026年11月2日時点でも、福徳岡ノ場には「噴火警報(周辺海域)」が発表されています。
警戒事項は周辺海域への警戒です。
この警報は2021年8月16日に切り替えられて以降、警報事項に変更がないと、2026年9月分の気象庁資料に記載されています。
重要なのは、警報が継続していることと、現在大規模噴火が発生していることは別だという点です。
警報は、周辺海域で警戒が必要な火山活動が続いていることを踏まえたものです。噴火の発生時刻や規模を確定的に予告する情報ではありません。
【被害と影響範囲】海底火山の噴火はどこまで影響する?日本への過去の実例
海底火山の噴火による被害範囲は、噴火の規模だけで決まりません。
津波、軽石、気圧波、噴煙では、それぞれ影響が広がる仕組みが異なるからです。
福徳岡ノ場の2021年噴火で起きたこと
2021年8月13日、福徳岡ノ場で大規模な海底噴火が発生しました。
気象庁の記録では、噴煙の高度は最大約1万6000m以上に達したとされています。
8月15日の海上保安庁による観測では、直径約1kmの馬蹄形の新島が確認されました。
加えて、大量の軽石などの浮遊物が北西方向へ約60kmにわたって漂流していました。
その後、軽石は海流や風の影響を受けながら南西諸島方面へ移動しました。
産業技術総合研究所によると、噴火から約2か月後には約1300km離れた南西諸島への漂着が始まっています。
国土交通省の資料では、最終的に沖縄県から東京都までの計92港湾で軽石の漂流・漂着が確認されています。
特に沖縄県の運天港では、軽石によって航路や泊地が埋まり、離島航路の運航に支障が生じました。
国は港湾管理者からの要請を受け、2021年12月から2022年6月まで軽石対策を実施しています。
この事例から分かるのは、海底火山の噴火による被害は、火口周辺だけで完結しないということです。
フンガ・トンガ噴火では日本にも潮位変化が発生
2022年1月のフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の噴火も、海底火山の影響範囲を考えるうえで重要です。
巨大な噴火によって発生した気圧波が地球規模で伝わり、日本の沿岸にも潮位変化をもたらしました。
気象庁が示す観測結果では、日本の太平洋沿岸で1mを超える潮位変化が確認されています。
JAMSTECの研究によると、ラム波やペケリス波によって励起された海面変動が、太平洋の海盆や大陸棚斜面の地形効果によって増幅されたことが分かっています。
ここで注意したいのは、フンガ・トンガ噴火の事例を、そのまま日本近海のすべての海底火山に当てはめることはできないという点です。
発生する現象は、噴火の規模、爆発の仕組み、火山の水深、海底地形、大気の状態などによって変わります。
海底火山の噴火で新しい島ができることもある
海底火山の噴火によって噴出物が積み重なると、海底から海面まで地形が成長し、新しい島が出現することがあります。
しかし、新島が誕生したからといって、そのまま陸地として残るわけではありません。
福徳岡ノ場では過去にも複数回、新島が形成されています。
- 1904年:海底噴火が始まり、同年12月に新島を確認。
- 1905年:新島が海没。
- 1914年:海底噴火によって新島が形成。
- 1916年:新島が消滅。
- 1986年1月20日:新島が形成。
- 1986年3月26日:新島が海没。
- 2021年8月:大規模噴火によって新島が形成。
- 2022年3月:上空からの観測で新島が確認されなくなった。
2026年9月の気象庁資料でも、1986年の新島が数か月で消滅した経緯が紹介されています。
海底火山による新島は、波による侵食や海食によって形を失うことがあります。
噴火直後の衛星画像で島が見えていても、それが将来まで残るとは限らないのです。
【警報と防災】海底火山が噴火したらどう避難する?気象庁の情報と対策
海底火山の噴火は、地震を伴わない場合もあります。
そのため、沿岸地域では揺れの有無だけで安全を判断しないことが大切です。
気象庁の「噴火警報(周辺海域)」とは?
気象庁は、海底火山について「噴火警報(周辺海域)」を発表します。
これは、噴火によって生命に危険を及ぼす現象が発生する可能性がある場合に、警戒が必要な海域を示す情報です。
福徳岡ノ場のように、火口周辺で大きな噴石やベースサージなどの危険が考えられる場合、周辺海域への警戒が呼びかけられます。
また、船舶に対しては火山現象に関する海上警報も発表されます。
両者の違いを理解しておきましょう。
| 情報の種類 | 主な対象 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 噴火警報(周辺海域) | 周辺海域の利用者・関係機関 | 火山活動による危険範囲 |
| 火山現象に関する海上警報 | 船舶 | 航行上の危険と警戒海域 |
| 津波警報・注意報 | 沿岸地域の住民・利用者 | 津波の到達や沿岸への危険 |
| 火山活動解説資料 | 一般の利用者・防災関係者 | 観測結果と活動の評価 |
特に注意したいのは、火山の噴火警報と津波警報は別の情報だということです。
海底火山に噴火警報が出ているからといって、必ず津波が発生するわけではありません。
一方、噴火警報が出ていない場所でも、遠方の火山噴火による気圧波などで潮位変化が起きる可能性はあります。
海底火山の噴火に備える5つの対策
1.気象庁の防災情報を定期的に確認する
気象庁の噴火警報・予報、津波警報・注意報、火山活動解説資料を確認します。
海底火山の活動状況は、観測によって更新されるため、古いニュースだけで判断しないことが重要です。
2.津波警報が発表されたら直ちに避難する
津波警報や大津波警報が発表された場合は、沿岸部から離れ、自治体が指定する高台や津波避難施設へ移動します。
火山噴火による津波でも、地震による津波と同じ避難行動が必要です。
警報が解除されるまでは、海岸や河口に近づかないでください。
3.海岸や港で噴火を見物しない
海底火山の噴火では、噴石、ベースサージ、急激な潮位変化などが発生する可能性があります。
噴煙や変色水が見えても、現場に近づいて撮影したり、海岸から様子を確認したりすることは避けてください。
4.船舶は航行警報と軽石情報を確認する
軽石は船舶のエンジン冷却系統に入り込み、故障につながる可能性があります。
船舶の運航者は、海上保安庁の航行警報や国土交通省の情報を確認し、軽石が漂流する海域への進入を避ける必要があります。
5.自治体の避難計画とハザードマップを確認する
沿岸地域に住んでいる人は、居住地域の津波ハザードマップを確認しておきましょう。
避難先だけでなく、避難経路、夜間の移動方法、家族との連絡手段も事前に決めておくと安心です。
【プロの結論】海底火山の危険性を正しく判断するための3つの視点
海底火山の噴火を考えるとき、最も避けたい誤解は「海底で起きる現象だから、陸上に住んでいる人には関係ない」という考え方です。
2021年の福徳岡ノ場噴火では、約1300km離れた地域に軽石が漂着し、国内92港湾に影響が及びました。
2022年のフンガ・トンガ噴火では、気圧波による海面変動が日本でも観測されています。
これらの実例は、海底火山の影響を火口周辺だけで考えることが適切ではないと示しています。
一方で、すべての海底火山噴火が巨大津波や広域災害につながるわけでもありません。
危険性を判断するときは、次の3つの視点が重要です。
視点1:噴火の規模だけでなく発生する仕組みを見る
同じ海底火山でも、静かなガスの放出と爆発的なマグマ水蒸気噴火では危険性が異なります。
水深、海底地形、噴火様式、噴出物の量などを総合的に見る必要があります。
視点2:被害の種類によって影響範囲を分けて考える
津波は海面の変動によって沿岸に被害をもたらします。
軽石は海流や風によって漂流し、港湾や漁業に影響します。
気圧波は大気を通じて遠方の海面にも作用します。
噴煙や火山ガスは風向きや高度によって影響範囲が変わります。
つまり、噴火地点からの距離だけでは、すべての危険性を判断できません。
視点3:観測情報と警報を分けて理解する
福徳岡ノ場の2026年の観測では、変色水や気泡の噴出が確認されています。
しかし、これらの現象だけで大規模噴火の日時や津波の規模を予測することはできません。
観測結果は火山活動を理解するための情報であり、警報は実際の防災行動につなげるための情報です。
この違いを理解し、気象庁と海上保安庁の最新情報を確認することが、海底火山災害から身を守る基本になります。
【海底火山噴火はどうなるのか】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:海底火山が噴火すると必ず津波が発生しますか?
A1:必ず発生するわけではありません。噴火による海底の隆起・沈降、火山体の崩壊、海底地すべりなどによって津波が発生する場合があります。また、大規模噴火では気圧波による海面変動も考えられます。
Q2:海底火山の噴火による津波は日本まで到達しますか?
A2:発生場所や噴火規模、津波の発生メカニズムによって異なります。2022年のフンガ・トンガ噴火では、日本の太平洋沿岸で1mを超える潮位変化が観測されました。遠方の噴火でも影響が及ぶ可能性があります。
Q3:福徳岡ノ場は2026年現在も噴火していますか?
A3:気象庁の2026年9月分の火山活動解説資料では、2021年8月下旬以降、噴火は確認されていません。一方、2026年9月17日には濃い黄緑色の変色水が観測されており、火山活動は継続していると評価されています。
Q4:海底火山の噴火で新しい島はできますか?
A4:できます。マグマや火山噴出物が海底に堆積し、海面を超える高さまで成長すると新島が形成されます。ただし、波による侵食などで消滅する場合もあります。福徳岡ノ場では1986年に形成された新島が約2か月後に海没しました。
Q5:海底火山の噴火による軽石はなぜ遠くまで流れるのですか?
A5:軽石は内部に多数の気泡を含み、密度が低いため海面に浮かびます。そのため、海流や風に流されて長距離を移動します。2021年の福徳岡ノ場噴火では、約1300km離れた南西諸島にも漂着しました。
Q6:海底火山の噴火情報はどこで確認できますか?
A6:気象庁の噴火警報・予報、火山活動解説資料、津波警報・注意報を確認してください。また、海上保安庁の海域火山データベースでは、福徳岡ノ場などの海域火山について観測記録を確認できます。船舶を利用する場合は海上警報や航行警報も重要です。
まとめ:海底火山噴火は津波だけでなく広域への影響に注意
海底火山が噴火すると、津波、気圧波、軽石の漂流、噴煙、火山ガス、ベースサージなど、さまざまな現象が発生する可能性があります。
その影響は火口周辺だけにとどまらず、海流や大気の動きによって遠方の沿岸地域にまで及ぶことがあります。
2026年11月2日時点の福徳岡ノ場では、2021年の大規模噴火以降、新たな噴火は確認されていません。しかし、2026年9月17日には変色水が観測され、気象庁は周辺海域への警戒を継続しています。
今後も注目すべきなのは、変色水や気泡の発生状況、噴火の有無、軽石などの浮遊物、そして気象庁による警報の変更です。
海底火山の噴火に対して大切なのは、必要以上に恐れることでも、海から遠いからと安心することでもありません。
「どの現象が発生しているのか」「どの範囲に警戒が必要なのか」「どの公式情報に従うべきなのか」を正しく理解することが、被害を防ぐための第一歩です。
福徳岡ノ場をはじめとする海域火山の観測情報を定期的に確認し、津波や軽石の漂流など、それぞれの危険に応じた備えを進めておきましょう。
主な情報源・根拠資料
- 気象庁「福徳岡ノ場 火山活動解説資料(令和8年9月)」
- 海上保安庁「海域火山データベース・福徳岡ノ場」
- 気象庁「地震や火山現象等に伴い発生する津波」
- JAMSTEC「トンガの大規模噴火が引き起こした気象津波のメカニズムを解明」
- 産業技術総合研究所「福徳岡ノ場火山2021年噴火と漂流軽石災害情報」
- 国土交通省「福徳岡ノ場噴火に伴う軽石漂流・漂着への対応」
- 気象庁「火山活動全般に関する用語」「火山ガスに関する用語」