「全部同じじゃないですか!?」というセリフで知られるネットミームの元ネタは、秋本治の漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(こち亀)第141巻に収録された「あこがれライダーの巻」です。登場するのは中川圭一、両津勘吉、本田速人の3人。両津と本田が熱心に語る架空の特撮ヒーロー「御面ライダー」の歴代超合金を見せられた中川が、あまりにも似ているフィギュアを前に思わず口にした一言が、後のネットミームにつながりました。
この場面は2017年4月にコラージュ素材として投稿され、同年9月にはTwitter(現X)の「#全部同じじゃないですかクソコラグランプリ」を通じて大きく拡散しました。2026年には『こち亀』50周年関連の公式企画でも「あこがれライダーの巻」が取り上げられています。元ネタの掲載巻から歴代ライダーの違い、コラ画像が流行した経緯、セリフが今も使われる理由まで整理します。
【元ネタを特定】「全部同じじゃないですか」はこち亀141巻「あこがれライダーの巻」

最初に、元ネタを探している人が知りたい答えは明確です。問題のシーンは、秋本治による『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の単行本141巻「あこがれライダーの巻」に収録されています。
単行本141巻の基本情報
- 作品名:こちら葛飾区亀有公園前派出所
- 作者:秋本治
- 収録巻:第141巻
- エピソード名:あこがれライダーの巻
- 週刊連載上の話数:第1344話
- 単行本発売日:2004年8月4日
- 出版社:集英社
集英社の公式書誌情報によると、第141巻は2004年8月4日発売のジャンプコミックスで、全192ページ。「あこがれライダーの巻」は目次上の45ページから始まる収録エピソードです。つまり、2017年に突然生まれたネットの創作ではなく、約13年前に刊行された漫画の一場面が再発見されたものです。
また、2026年10月16日に公開された『こち亀』50周年関連の公式クイズ企画でも、このエピソードが「第141巻 第1344話 あこがれライダーの巻」として紹介されています。作品公式の情報からも、元ネタの巻数と話数を確認できます。
なお、ネット上では「御免ライダー」と表記されることもありますが、公式の50周年関連企画では「御面ライダー」と表記されています。検索するときは両方の表記を知っておくと見つけやすくなります。
【セリフの意味】両津と本田が熱中する御面ライダーと中川の温度差
このミームの面白さを理解するには、単にセリフだけを見るのではなく、登場人物それぞれの立場を知る必要があります。
両津勘吉と本田速人は御面ライダーの熱心なファン
作中に登場する御面ライダーは、実在する仮面ライダーシリーズを思わせる架空の特撮ヒーローです。本田は子どものころからシリーズに親しんでおり、両津も歴代作品に詳しいファンとして描かれています。
2人が話題にしているのは、御面ライダーの超合金フィギュア。シリーズには初代から複数の世代が存在し、両津はその違いを当然の知識として中川に説明します。
ところが、中川圭一は御面ライダーをよく知りません。両津と本田が熱心に紹介するフィギュアを見ても、世代ごとの違いがほとんど理解できません。
中川が思わず口にした「全部同じじゃないですか!?」
「全部同じじゃないですか!?」
このセリフは、単純にフィギュアのデザインが同じだという意味ではありません。両津や本田にとっては、長年親しんできた作品の歴史や進化を示す大切な違いです。しかし、興味のない中川には、その違いを認識するための知識も関心もありません。
さらに面白いのは、両津と本田が中川の指摘を否定するところです。2人にとっては明らかに別物なのに、中川からすれば同じような姿のフィギュアが並んでいるだけ。この認識のズレが笑いを生み出しています。
歴代御面ライダーは何が違うのか?
歴代フィギュアの特徴は、シリーズの世代が変わっても基本的なデザインが大きく変化しないことです。ファン向けの作品解説では、世代ごとに名称が変わり、細かなシールの位置や装飾などに違いがあることが紹介されています。
つまり、両津たちが注目しているのは、一般の人には見落としやすい細部です。大きなモデルチェンジではなく、知っている人だからこそ分かる微妙な変更がポイントになっています。
ここには、特撮や玩具の熱心なファンが感じる楽しさと、詳しくない人が感じる疑問の両方が描かれています。中川の反応は、ファン以外の読者にとっても共感しやすいものだったのです。
【登場人物・関係性】両津勘吉、中川圭一、本田速人の役割を整理
「全部同じじゃないですか」の場面は、3人の知識と興味の違いを理解すると、さらに面白くなります。それぞれの立ち位置を整理しました。
| 人物・作品 | 関係・立場 | 場面での役割 |
|---|---|---|
| 両津勘吉 | 御面ライダーの熱心なファン | 歴代超合金を中川に見せ、細かな違いを解説する |
| 本田速人 | 子どものころからのシリーズファン | 両津と一緒にライダーの違いを理解し、中川に反応する |
| 中川圭一 | シリーズに詳しくない人物 | フィギュアの違いが分からず、問題のセリフを発する |
| 御面ライダー | 作中に登場する架空の特撮ヒーロー | 世代ごとの微妙な違いがギャグの中心になる |
| 超合金フィギュア | 歴代シリーズの玩具 | ファンと初心者の認識の違いを視覚的に表現する |
| 第141巻 | 2004年刊行の単行本 | 「あこがれライダーの巻」を収録する元ネタの書籍 |
この関係性で重要なのは、両津と本田が単なる知識自慢をしているわけではないという点です。2人は好きなものについて本気で語っています。その熱量が高いほど、中川の冷静な反応とのギャップが際立ちます。
また、中川は普段から知識や教養のある人物として描かれることが多いキャラクターです。それでも、自分の知らない趣味の領域では初心者になってしまう。この立場の逆転も、シーンの面白さを支えています。
【2017年の拡散経緯】全部同じじゃないですかクソコラグランプリはどう始まった?
漫画の一場面がネットミームとして広まったのは2017年です。特にTwitterで開催された「#全部同じじゃないですかクソコラグランプリ」が大きなきっかけになりました。
2017年4月24日:コラージュ素材が投稿される
元の漫画のコマを使ったコラ画像は、ハッシュタグが流行する以前から作られていました。2017年4月24日には、Twitterユーザーの「時の遊者」が素材画像とともに「#全部同じじゃないですかクソコラグランプリ」を投稿しています。
ただし、この時点ですぐに大規模なブームになったわけではありません。コラージュ用の素材が公開されたものの、しばらくは大きな広がりを見せませんでした。
2017年9月3日:ハッシュタグが再び拡散
流れが変わったのは同年9月3日ごろです。しばらく目立った動きのなかったハッシュタグ付きの投稿が再び拡散し、さまざまなジャンルのユーザーが参加するようになりました。
ITmedia系列の「ねとらぼ」は2017年9月10日、ブームを取り上げた記事を公開しています。同記事では、ポケモンの通常色と色違い、そっくりなフォント、乳酸菌飲料など、見た目や特徴が似ているものを並べた作品が紹介されました。
2017年9月14日:水戸芸術館の投稿削除がニュースに
ブームの広がりを象徴する出来事が、水戸芸術館によるコラ画像の投稿と、その後の削除です。
水戸芸術館は、施設のタワーのライトアップを紹介する目的で、こち亀のコラージュを公式Twitterアカウントに投稿しました。タワーの色の違いを並べ、両津と中川のやり取りに置き換えた内容です。
しかし、集英社と相談した結果、2017年9月14日に投稿を削除。著作権者の権利保護に配慮する旨を表明しました。この出来事は翌15日、J-CASTニュースでも報じられ、コラ画像の著作権やパロディの扱いをめぐる議論につながりました。
当時の主な出来事を
- 2004年8月4日:単行本141巻が発売される。
- 2017年4月24日:コラ画像素材とハッシュタグが投稿される。
- 2017年9月3日ごろ:ハッシュタグ付き投稿が再び拡散する。
- 2017年9月10日:ねとらぼがクソコラグランプリの盛り上がりを紹介する。
- 2017年9月14日:水戸芸術館が公式アカウントのコラ画像を削除する。
- 2017年9月15日:J-CASTニュースが削除と著作権をめぐる議論を報じる。
- 2026年10月16日:こち亀50周年関連の公式クイズで第141巻のエピソードが再紹介される。
【ミーム化した理由】なぜ「全部同じじゃないですか」は使いやすいのか
このコラ画像が多くのジャンルに広がった理由は、元ネタの構造が非常に汎用的だったことにあります。
1. 見た目が似ているものを比較するだけで成立する
最大の特徴は、元のフィギュアを別の対象に置き換えるだけでネタが成立することです。
例えば、似たような商品を並べる、名前だけ違うサービスを比較する、微妙なデザイン違いを並べるなど、さまざまな題材に応用できます。
ITmediaの2017年の記事では、ポケモンの色違い、似ているフォント、乳酸菌飲料などが実例として紹介されました。ジャンルが違っても、見分けがつきにくいという共通点があれば成立するのです。
2. マニアと初心者の温度差を表現できる
このミームは、詳しい人と詳しくない人の認識の違いを表現するのにも向いています。
ある分野の専門家やファンにとっては、わずかな違いも重要です。しかし、その分野に詳しくない人からすれば、どれも同じように見えてしまいます。
これは特撮だけでなく、パソコンの型番、スマートフォンの新旧モデル、車のグレード、ゲームのキャラクター、音楽機材などにも当てはまります。
3. 中川の表情がオチとして機能する
セリフだけでなく、中川の表情も重要な要素です。最初は普通に説明を聞いていた中川が、だんだん理解できなくなり、最後には困惑した表情を見せます。
この表情があることで、画像を見る側は中川の立場に自然と共感できます。説明する側の熱意と、聞く側の困惑が一枚の画像に収まっているため、短い投稿でも状況が伝わりやすいのです。
4. 自虐にもツッコミにも使える
「全部同じじゃないですか」は、単に似ているものを笑うだけのセリフではありません。
- 似たような新商品ばかり発売されるとき
- 名前だけ変更されたサービスを見たとき
- 専門家の説明が細かすぎて理解できないとき
- 似たようなデザインが大量に並んでいるとき
- 自分の趣味を他人に理解してもらえないとき
こうした場面で使うと、批判、共感、自虐、軽いツッコミなど、複数の意味を持たせられます。元ネタの状況を知らなくても画像の意味を理解しやすいことが、ミームとしての強さにつながりました。
【誤解を検証】御免ライダーの表記・コラ画像の著作権・元ネタの正しい理解
ネット上では、元ネタに関していくつか混同されやすいポイントがあります。
「御免ライダー」と「御面ライダー」はどちらが正しい?
検索キーワードでは「御免ライダー」と表記されることがありますが、2026年のこち亀50周年関連の公式企画では「御面ライダー」と記載されています。作品のキャラクター情報でも「御面ライダー」という表記が確認できます。
そのため、作品内の名称を正確に調べたい場合は「御面ライダー」を使うのが適切です。一方、「御免ライダー」はネット上で定着した検索表記として理解しておくとよいでしょう。
このセリフは両津の発言ではない
画像の中心にいる両津が発言者だと勘違いされることがありますが、問題のセリフを口にするのは中川圭一です。
両津は歴代フィギュアの違いを熱心に説明する側で、本田もその違いを理解している側。中川が初心者として疑問を投げかけることで、ギャグが成立しています。
コラ画像なら自由に使ってよいわけではない
2017年の水戸芸術館の事例は、ネット上のパロディと著作権の関係を考えるうえでも参考になります。
公式アカウントによる投稿であっても、漫画のコマを利用したコラージュについて出版社と相談し、削除に至った経緯があります。
ただし、この一件だけで、すべてのパロディ画像の適法性が決まるわけではありません。著作権法上の扱いは、利用方法や内容、目的などによって異なります。ネットミームとして広まっていることと、画像を自由に転載・加工・商用利用できることは別問題です。
【よくある質問】こち亀の「全部同じじゃないですか」に関するFAQ
Q1:こち亀の「全部同じじゃないですか」は何巻に収録されていますか?
A1:単行本141巻に収録された「あこがれライダーの巻」です。2004年8月4日に発売されたジャンプコミックスで、週刊連載上では第1344話に当たります。
Q2:セリフを言っているのは中川圭一ですか?
A2:そのとおりです。両津勘吉と本田速人が御面ライダーの歴代超合金を紹介するなかで、違いが分からない中川が「全部同じじゃないですか!?」と発言します。
Q3:御面ライダーは実在する特撮作品ですか?
A3:実在の番組ではなく、『こち亀』の作中に登場する架空の特撮ヒーローです。実在する仮面ライダーシリーズを思わせる設定で、世代ごとの超合金フィギュアが登場します。
Q4:全部同じじゃないですかクソコラグランプリはいつ流行しましたか?
A4:2017年秋です。4月24日に素材とハッシュタグが投稿され、9月3日ごろから再び拡散。9月10日にはねとらぼでも取り上げられました。
Q5:なぜ中川のセリフがネットミームになったのですか?
A5:似ているものを並べるだけで使える汎用性と、詳しい人と初心者の温度差を表現できる面白さが理由です。商品比較や趣味の違いなど、幅広いジャンルに応用できます。
まとめ:【プロの結論】「全部同じじゃないですか」は趣味の価値観の違いを描いた名シーン
「全部同じじゃないですか」の元ネタは、秋本治の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』141巻「あこがれライダーの巻」です。両津勘吉と本田速人が愛する御面ライダーの超合金を前に、中川圭一が違いを理解できずに発した一言が、2017年のクソコラグランプリを通じてネットミームとして広まりました。
この場面の本質は、単なるフィギュアの見た目の違いではありません。好きな人にとっては大きな違いでも、興味のない人には同じに見えるという、趣味や価値観のズレを描いていることにあります。
だからこそ、特撮、ゲーム、乗り物、家電、ファッション、ネットサービスなど、対象を選ばず使える表現になりました。中川の一言は、専門性の高い知識と一般的な感覚の間にある距離を、短い言葉で伝えています。
2026年には公式の50周年関連企画でも「あこがれライダーの巻」が再び紹介され、元ネタの存在を確認できる機会が生まれています。ミームだけを知っていた人も、141巻の原作を読むことで、両津と本田の熱量、中川の困惑、そして秋本治ならではの観察眼を改めて楽しめるはずです。
ネットミームとしての面白さを理解するなら、まず141巻の「あこがれライダーの巻」を読む。それが、このセリフを最も深く楽しむ方法です。
主な事実確認資料
- 集英社:『こちら葛飾区亀有公園前派出所』141巻の書誌情報・収録内容
- こち亀50周年公式サイト:2026年10月16日公開の第24回「こち亀Q」
- ねとらぼ:2017年9月10日「全部同じじゃないですかクソコラグランプリ」の紹介記事
- J-CASTニュース:2017年9月15日、水戸芸術館のコラ画像削除と著作権をめぐる報道