マフィアとは、イタリア南部のシチリア島に起源を持つ組織犯罪集団を指す言葉です。秘密主義、強固な上下関係、暴力や威圧による支配、違法な資金獲得を特徴とし、地域社会や政治、経済にまで影響力を及ぼしてきました。代表的な組織として知られるのが、シチリア・マフィアの「コーザ・ノストラ」です。
しかし、マフィアという言葉は、単に犯罪者の集まりを意味するわけではありません。ボスを頂点とする組織構造、オメルタと呼ばれる沈黙の掟、地域社会への浸透、合法的な企業を利用した資金洗浄など、独特の仕組みを持っています。2026年現在も国際的な捜査や摘発が続いており、その活動は映画で描かれるイメージとは大きく異なります。
この記事の重要ポイントまとめ

- マフィアの意味: シチリア島を起源とする組織犯罪集団であり、現在はイタリア各地や海外の類似組織を指す場合もある。
- 組織の仕組み: ボス、アンダーボス、カポなどの階層構造と、オメルタという沈黙の掟が特徴。
- 主な資金源: 麻薬取引、恐喝、違法賭博、公共事業への介入、企業活動を利用した資金洗浄など。
- 日本との違い: 暴力団は一定の組織構造を持つのに対し、トクリュウは匿名性と流動性を特徴とする。
- 2026年の動向: イタリア国内の摘発だけでなく、国際的な捜査協力による逮捕や資産の押収も進んでいる。
【基礎知識】マフィアとは?意味・定義とシチリアとの関係
マフィアの意味と定義
マフィア(Mafia)は、もともとイタリアのシチリア島で形成された犯罪組織を指す言葉です。
狭い意味では、シチリア・マフィアを中心とする特定の犯罪組織を意味します。一方、広い意味では、暴力や脅迫、秘密の結び付き、政治・経済への不正な介入などを通じて利益と権力を獲得する組織犯罪集団の総称として使われます。
マフィアを理解するうえで重要なのは、単なる犯罪集団と、マフィア型組織を区別することです。
一般的な犯罪グループは、窃盗や詐欺などの犯罪によって利益を得ることを主な目的とします。それに対して伝統的なマフィアは、犯罪収益を得るだけでなく、特定の地域や経済活動に対する継続的な支配力を確立しようとします。
具体的には、次のような特徴があります。
- 組織内部に明確な上下関係がある。
- 構成員同士に強い忠誠関係が存在する。
- 恐喝や暴力によって地域社会を支配する。
- 政治家、行政関係者、企業経営者などとの不正な関係を築く。
- 違法な収益を合法的な経済活動に流入させる。
- 内部情報を外部に漏らさない秘密主義を重視する。
つまり、マフィアの本質は、犯罪を繰り返すことだけではありません。暴力と秘密主義を背景に、社会の中に独自の権力構造をつくり上げることにあります。
マフィアとコーザ・ノストラは同じ意味なのか
よく混同されるのが「マフィア」と「コーザ・ノストラ」です。
コーザ・ノストラ(Cosa Nostra)はイタリア語で「われわれのもの」という意味を持つ言葉です。シチリア・マフィアを指す名称として知られています。
ただし、マフィアという言葉がイタリアの組織犯罪全体を指す場合もあるため、両者は完全な同義語ではありません。
また、アメリカにもイタリア系移民を中心に発展したラ・コーザ・ノストラ(La Cosa Nostra)が存在します。シチリアの組織と歴史的なつながりを持ちますが、アメリカの犯罪組織として独自の発展を遂げました。
マフィアという言葉の起源
マフィアという言葉の語源には複数の説があり、アラビア語に由来するという説もあります。ただし、確定した語源があるわけではありません。
現代的な意味で言葉が広く知られるきっかけの一つが、1863年にパレルモで上演された演劇『I mafiusi di la Vicaria』です。
1868年にはシチリア・イタリア語辞典にマフィアの定義が掲載されました。
2026年刊行のジョセフ・ファレルによる研究書『Understanding the Mafia』でも、19世紀の用語の成立と、マフィアを法律上どのように定義するかという問題が取り上げられています。
【歴史】マフィアの起源はシチリア島!誕生から世界への拡大まで
19世紀のシチリアで形成された背景
マフィアの歴史を理解するには、19世紀のシチリア島の社会状況を知る必要があります。
シチリア島は地中海の要衝に位置し、長い歴史の中でさまざまな勢力による支配を経験しました。
19世紀には土地所有の不均衡、政治的な混乱、治安維持の不十分さなどが重なり、地域社会では公的な制度だけでは解決できない問題が生じていました。
そのような環境で、土地や財産を守るための私的な警備組織や仲介者が力を持つようになります。
しかし、一部の集団は保護を提供する立場から、次第に住民や地主に金銭を要求する存在へと変化しました。
2017年に『Journal of Economic History』に掲載された研究では、19世紀後半のシチリアにおける柑橘類の輸出拡大、土地所有、法執行の弱さなどが、マフィアの形成と関係していた可能性が分析されています。
マフィアの誕生には単一の原因があったわけではなく、政治、経済、社会構造が複雑に絡み合っていました。
マフィアの歴史における主な転換点
- 1838年: シチリアの社会状況について、秘密の結社に言及した報告書が提出される。
- 1863年: 演劇『I mafiusi di la Vicaria』が上演され、マフィアという言葉が広く知られるきっかけとなる。
- 1868年: シチリア・イタリア語辞典にマフィアの定義が掲載される。
- 19世紀後半: 地域社会への恐喝や経済活動への介入を通じ、マフィア型組織が勢力を拡大する。
- 1920~1930年代: アメリカでイタリア系犯罪組織が発展し、組織間の勢力争いと再編が進む。
- 1982年: イタリアでマフィア型結社への所属自体を犯罪とする刑法416-bis条が導入される。
- 1990年代以降: イタリア国内での反マフィア運動や国際的な捜査協力が強化される。
- 2020年代: 国際的な麻薬取引、資金洗浄、企業活動への浸透などへの対策が重要な課題となる。
アメリカン・マフィアの成立
マフィアが世界的に知られるようになった大きな理由の一つが、アメリカへの進出です。
イタリア系移民の増加に伴い、アメリカ国内ではイタリア系犯罪集団が形成されました。
特に1920年代の禁酒法時代には、酒類の違法取引などによって莫大な利益を得る組織が登場します。
その後、ニューヨークを中心に犯罪組織の再編が進み、ボスを頂点とするファミリー制度や組織間の調整機構が発展しました。
FBIの歴史資料によれば、アメリカのラ・コーザ・ノストラについて、1951年の米上院委員会による調査で全国的な犯罪組織の存在が確認されています。
この時代の組織犯罪は、映画や小説の題材としても扱われ、マフィアという言葉が世界的に定着する要因になりました。
【組織構造】ボス・アンダーボス・カポとオメルタの仕組み
マフィアの階層構造とは
シチリア・マフィアやアメリカン・マフィアの特徴の一つが、ファミリーと呼ばれる組織単位です。
ファミリーという名称ですが、必ずしも血縁関係だけで構成されているわけではありません。組織内部の所属や忠誠関係を示す呼称として使われます。
代表的な組織構造は次のとおりです。
1. ボス(Boss)
組織の最高責任者です。ファミリー全体の方針や重要な意思決定に関与し、幹部や構成員に対して強い影響力を持ちます。
映画でいう「ドン」は、ボスを表す呼び名として知られています。
2. アンダーボス(Underboss)
ボスを補佐するナンバー2に相当する役職です。
ボスが不在の場合に組織を取りまとめたり、内部の管理を担ったりします。
3. コンシリエーレ(Consigliere)
ボスに助言する相談役です。
組織内部の問題や対立を調整し、幹部に対して意見を述べる立場とされています。
4. カポ(Capo/Caporegime)
複数の構成員をまとめる幹部です。
一定の集団を統括し、組織の指示を下位の構成員に伝える役割を持ちます。
5. ソルジャー(Soldier)
正式な構成員を意味します。
ファミリーの一員として組織の規律に従い、上位者の指揮下で活動します。
6. アソシエート(Associate)
正式な構成員ではないものの、組織と関係を持つ協力者です。
犯罪に関与する者だけでなく、周辺の人脈や経済活動を通じて組織とつながる者も含まれます。
FBIが公表しているニューヨークの五大ファミリーに関する資料でも、こうした役職や関係性が説明されています。
マフィアの組織・関連用語の関係一覧
| エンティティ | 意味・役割 | 関係性 |
|---|---|---|
| シチリア・マフィア | シチリア島を起源とする犯罪組織 | マフィアの歴史的な中心 |
| コーザ・ノストラ | シチリア・マフィアの名称 | シチリアのマフィアを代表する存在 |
| ボス | ファミリーの最高責任者 | 組織全体を統括 |
| アンダーボス | ボスの補佐役 | 組織運営を支える |
| コンシリエーレ | 相談役・顧問 | ボスに助言する |
| カポ | 集団をまとめる幹部 | 下位構成員を統括 |
| ソルジャー | 正式な構成員 | ファミリーの一員 |
| アソシエート | 非正式な協力者 | 組織と外部をつなぐ |
| オメルタ | 沈黙の掟 | 秘密主義と忠誠を支える規範 |
なお、この構造は代表的なモデルです。すべてのマフィア組織が同一の役職や序列を採用しているわけではありません。
オメルタとは?マフィアを支える沈黙の掟
オメルタ(Omertà)は、マフィアの秘密主義を象徴する言葉です。
一般的には、組織内部の情報を外部に漏らさず、警察や司法機関に協力しないという沈黙の掟を意味します。
その背景には、組織への忠誠心や仲間意識だけでなく、裏切り者に対する報復への恐怖も存在します。
オメルタが重視される理由は、組織の活動を維持するためには内部情報が外部に流出しないことが重要だからです。
一方で、沈黙の掟は構成員だけでなく、周辺住民や被害者にも心理的な圧力を与えてきました。
恐喝や脅迫の被害を受けても警察に相談できない状況が生まれれば、組織の支配力はさらに強まります。
したがって、オメルタは単なる仲間同士の約束ではありません。マフィアが地域社会に対して影響力を維持するための仕組みの一つでもあります。
【犯罪の実態】マフィアの資金源とカモッラ・ンドランゲタの違い
マフィアは何で資金を稼いでいるのか
マフィアの資金源は、麻薬取引だけではありません。
違法な活動によって利益を得る一方、合法的な企業や事業に浸透することで、犯罪収益を経済活動の中に取り込もうとします。
主な資金源には次のようなものがあります。
麻薬取引
麻薬の国際取引や流通に関与する活動です。特に国境を越えた犯罪ネットワークとの関係が問題になっています。
恐喝・みかじめ料
商店や飲食店、建設業者などに金銭や利益の提供を要求する行為です。支払いを拒否した場合に、脅迫や営業妨害などが行われることがあります。
違法賭博
違法な賭博やオンライン賭博などを通じた収益獲得です。
建設・公共事業への介入
公共工事や民間事業の受注、取引関係などに不正に関与し、企業活動から利益を得ようとします。
資金洗浄
犯罪によって得た資金の出所を隠し、合法的な経済活動による収益であるかのように見せる行為です。
企業への浸透
飲食、物流、不動産、農業、建設などの分野で企業活動に介入し、経済的な支配力を強めます。
FBIの資料でも、アメリカのラ・コーザ・ノストラの活動として、麻薬取引、資金洗浄、恐喝、違法賭博、労働組合への不正介入、合法企業への浸透などが挙げられています。
重要なのは、マフィアの収益構造が犯罪だけで完結していない点です。社会の中にある正規の経済活動を利用することで、組織の資金と影響力を維持しようとします。
シチリア・マフィア、カモッラ、ンドランゲタの違い
イタリアには複数のマフィア型犯罪組織が存在します。
代表的なのが、シチリアのコーザ・ノストラ、ナポリを中心とするカモッラ、カラブリア州を起源とするンドランゲタです。
これらは同じマフィアというカテゴリーで語られることがありますが、歴史や組織構造には違いがあります。
コーザ・ノストラ(Cosa Nostra)
シチリア島を起源とする組織です。
ファミリーを単位とする組織構造や、オメルタと呼ばれる沈黙の掟で知られています。
麻薬取引、恐喝、賭博、政治・経済への不正な介入などが問題となっています。
カモッラ(Camorra)
ナポリやカンパニア州を中心に活動してきた犯罪組織です。
コーザ・ノストラのような単一の統一的な指導体制を持つわけではなく、複数のクランやグループが存在します。
グループ間の同盟や対立が変化しやすく、地域ごとに異なる勢力関係を形成しています。
2025年に公表されたイタリア反マフィア捜査局の報告でも、カモッラについて、麻薬取引、恐喝、高利貸しのほか、公共事業や企業活動への浸透が取り上げられています。
ンドランゲタ('Ndrangheta)
カラブリア州を起源とする犯罪組織です。
血縁関係を基盤とする結び付きが強いことで知られ、国際的な麻薬取引や資金洗浄、企業活動への浸透などに関与しています。
INTERPOLによれば、ンドランゲタは世界84か国以上に活動を広げており、国際的な組織犯罪対策の重要な対象となっています。
このように、マフィアと一口にいっても、組織の成り立ちや勢力範囲、犯罪活動は一様ではありません。
アメリカン・マフィアとは
アメリカン・マフィアは、イタリア系移民を中心に発展した組織犯罪ネットワークです。
ニューヨークには、歴史的に五大ファミリーと呼ばれる主要組織が存在します。
- ボナンノ・ファミリー
- コロンボ・ファミリー
- ガンビーノ・ファミリー
- ジェノヴェーゼ・ファミリー
- ルッケーゼ・ファミリー
これらはアメリカの組織犯罪史において重要な存在です。
FBIは、現在もニューヨーク周辺、ニューイングランド、フィラデルフィア、シカゴ、デトロイトなどでラ・コーザ・ノストラの活動が確認されていると説明しています。
ただし、かつてのような全国的な支配力を維持しているわけではありません。
アメリカン・マフィアは、シチリアの組織と歴史的な関係を持ちながらも、アメリカの社会環境や犯罪市場に合わせて独自の変化を遂げてきた組織です。
【日本との違い】マフィアと暴力団・トクリュウは何が違う?
マフィアと日本の暴力団の違い
マフィアと日本の暴力団は、組織的な犯罪、上下関係、威圧による支配、違法な資金獲得などの点で共通性があります。
一方、歴史的な背景や法制度、組織の成り立ちには違いがあります。
日本の暴力団は、暴力団対策法などによって規制される組織です。
同法第2条では、暴力団について、構成員が集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体と定義しています。
比較すると次のようになります。
マフィア
- 主な歴史的起源はイタリアのシチリア島。
- ファミリーやクランなどの組織単位がある。
- 恐喝、麻薬取引、違法賭博、経済活動への不正介入などに関与する。
- オメルタと呼ばれる秘密主義の規範で知られる。
- 国境を越えた犯罪ネットワークを形成する組織もある。
日本の暴力団
- 日本の社会的・歴史的背景から形成された組織。
- 組長や幹部を中心とした階層構造を持つ。
- 暴力団対策法や暴力団排除条例などによる規制を受ける。
- 威力を背景とした不当要求や違法な資金獲得活動が問題となる。
両者は似た性質を持っていますが、同じ組織や制度ではありません。
マフィアとトクリュウの違い
2020年代の日本で特に問題になっているのが、トクリュウです。
トクリュウとは「匿名・流動型犯罪グループ」の略称です。
従来型の暴力団とは異なり、SNSや求人サイトなどを通じて緩やかにつながり、犯罪の実行者をその都度募集する特徴があります。
警察庁の令和6年版警察白書では、トクリュウについて、犯罪収益を吸い上げる中核部分が匿名化され、末端の実行犯が入れ替わる構造が説明されています。
また、暴力団とトクリュウは完全に無関係というわけではありません。警察庁は、両者の間に資金や人的なつながりがあるケースも確認しているとしています。
主な違いは以下のとおりです。
| 比較項目 | マフィア | 日本の暴力団 | トクリュウ |
|---|---|---|---|
| 起源・背景 | イタリアのシチリアなど | 日本 | 日本の現代的な犯罪環境 |
| 組織構造 | ファミリーやクランなど | 組長を頂点とする階層型 | 匿名性の高い流動型 |
| 人間関係 | 忠誠関係や血縁関係 | 擬制的な血縁関係など | SNSなどの緩やかなつながり |
| 主な特徴 | 秘密主義と地域・経済への浸透 | 組織的な威力と上下関係 | 中核人物の匿名化と実行犯の流動化 |
| 主な犯罪 | 麻薬取引、恐喝、賭博など | 恐喝、薬物、詐欺など | 特殊詐欺、強盗、窃盗など |
| 法制度 | イタリア刑法など | 暴力団対策法など | 個別の犯罪に対する刑事法規など |
特に重要なのは、トクリュウには伝統的なマフィアのような固定的な組織構造が必ずしも存在しないことです。
警察庁の説明では、犯罪の指示を出す中核人物が匿名性の高い通信手段を利用する一方、実行犯はSNSなどで募集され、入れ替わっていく実態が示されています。
そのため、末端の実行犯を逮捕するだけでは、犯罪収益を得ている中核部分の解明につながらない場合があります。
日本でもトクリュウ対策が重要になっている
2026年4月2日の国家公安委員会委員長代理の記者会見では、2025年の組織犯罪情勢について説明がありました。
警察庁長官は、トクリュウが暴力団や来日外国人犯罪グループなどと一定の関係を保ちながら、ニセ警察詐欺、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺、強盗、窃盗などに関与していると説明しています。
同会見で公表された主な数字は次のとおりです。
- 2025年の特殊詐欺被害額は過去最悪の3,241億円。
- 2026年2月末時点の特殊詐欺被害額は593億8,000万円。
- 同時点の被害額は前年同期比82.8%増。
- 警察庁は匿名・流動型犯罪グループの中核人物を摘発するための専門的な取締り体制を強化。
これはマフィアそのものの統計ではありません。しかし、国境や組織形態が異なっても、犯罪収益を中核部分に集める組織犯罪への対策が共通の課題になっていることを示しています。
【2026年最新】マフィアの現在と映画では見えない本当の実態
2026年も続く国際的なマフィア摘発
2026年現在、イタリアのマフィアは過去の歴史上の存在ではありません。
特に、ンドランゲタを中心とする国際犯罪ネットワークへの対策は、欧州各国やINTERPOLなどが取り組む重要な課題となっています。
2026年10月9日、イタリア内務省は、INTERPOLとイタリア警察当局が連携する国際捜査プロジェクト「I-CAN」に関連して、ンドランゲタに関係する人物181人を32か国で逮捕したと発表しました。
この中には、指名手配中の逃亡者70人が含まれています。
同プロジェクトは2020年に開始され、2027年末まで延長されています。
国際的な情報共有や逃亡者の所在特定、犯罪収益の回収などが取り組みの柱です。
この動きは、マフィアの活動が一つの国や地域に限定されないことを示しています。
2026年9月にはシチリアでも摘発
2026年9月24日には、イタリアの財務警察がカターニア県とシラクーザ県でマフィア関連の捜査を実施しました。
公表資料によれば、25人に対して身柄拘束などの措置が取られ、約550万ユーロの資産が押収対象となりました。
捜査では、サンタパオラ・エルコラーノ系のファミリーや、ナールド・クランに関係する疑いが取り上げられています。
問題となった活動には、農産物流通や柑橘類の輸送・販売に関係する事業者への恐喝、公共事業関連企業への介入、麻薬取引などが含まれていました。
なお、これらは捜査段階の措置であり、対象者の有罪が確定したことを意味するものではありません。
この事例で注目すべきなのは、マフィアの影響力が、麻薬取引や暴力だけでなく、地域の農業や物流、公共事業といった日常的な経済活動にも及んでいる点です。
カモッラでも2026年に大規模摘発
2026年3月3日には、ナポリでカモッラのマッツァレッラ系とセコンディリアーノ同盟に関係する組織を対象に、71人に対する身柄拘束措置が実施されました。
さらに5月19日には、アフラゴーラでモッチャ・クランに関係する26人が逮捕されたとカラビニエリが発表しています。
発表では、恐喝、麻薬取引、武器関連の犯罪などが捜査対象として挙げられています。
いずれも捜査段階の発表であり、逮捕された人物の有罪が確定したわけではありません。
こうした事例からも、カモッラが複数のクランによって構成され、地域ごとに異なる犯罪活動を続けている実態がうかがえます。
マフィアの実態と映画のイメージは何が違う?
マフィアという言葉を聞くと、多くの人が映画の中のボスや豪華な屋敷、スーツ姿の幹部、家族を守るための忠誠心などを思い浮かべる可能性があります。
特に『ゴッドファーザー』のような作品は、マフィアの世界観を広く知らしめました。
しかし、映画の演出と実際の犯罪組織の姿には大きな隔たりがあります。
誤解1:マフィアは仲間や家族を大切にする義理堅い組織
映画では家族愛や仲間への忠誠が強調されます。しかし、実態は脅迫や暴力、裏切りへの報復によって組織の秩序を維持する犯罪集団です。
誤解2:マフィアの活動は麻薬取引や殺人が中心
麻薬取引は重要な犯罪収益源ですが、それだけではありません。恐喝、違法賭博、公共事業への介入、企業活動への浸透など、幅広い分野に関与します。
誤解3:マフィアはボスがすべてを決定する完全なピラミッド組織
コーザ・ノストラなどでは階層構造が知られていますが、組織間の関係や権力の移動は複雑です。カモッラのように複数のクランが競合する組織もあります。
誤解4:マフィアは過去の存在である
2026年の国際的な摘発状況を見ても、マフィア型犯罪組織は現在も活動しています。犯罪の形態が変化し、国際的な経済活動に浸透している点が重要です。
マフィアを理解する際には、映画に描かれる人物像だけでなく、被害者、地域経済、政治、司法制度への影響にも目を向ける必要があります。
【プロの結論】マフィアを理解するために押さえたい3つの本質
マフィアを単なる海外の犯罪集団として理解するだけでは、その本質を捉えられません。
重要なのは、犯罪組織がどのように社会の中に入り込み、影響力を維持してきたのかという点です。
第一に、マフィアは暴力だけで支配する組織ではないこと。
恐喝や脅迫は代表的な手段ですが、地域の商業活動や公共事業、企業経営などに関与することで、経済的な影響力を獲得することもあります。
第二に、組織の強さは秘密主義と人間関係によって支えられていること。
オメルタやファミリーの結び付きは、組織内部の情報を外部に漏らさないための仕組みとして機能してきました。
第三に、現代の組織犯罪は国境や組織形態を越えていること。
ンドランゲタの国際的な活動や、日本のトクリュウのような匿名性の高い犯罪グループへの対策を見ると、現代の組織犯罪は一つの国の警察だけでは対応しきれない問題になっています。
マフィアを理解するうえで最も重要なのは、犯罪組織の名前やボスの人物像を覚えることではありません。犯罪によって得た資金がどこへ流れ、誰が利益を得て、どのように社会へ影響を与えているのかを考えることです。
【マフィアとは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:マフィアとは簡単にいうと何ですか?
A1:マフィアとは、イタリアのシチリア島に起源を持つ組織犯罪集団です。強い上下関係、秘密主義、恐喝や麻薬取引、経済活動への不正介入などを特徴とします。広い意味では、類似した性質を持つ組織犯罪集団を指す場合もあります。
Q2:コーザ・ノストラとマフィアの違いは何ですか?
A2:マフィアは広い意味で使われる言葉で、コーザ・ノストラはシチリア・マフィアを指す代表的な名称です。アメリカにも歴史的なつながりを持つラ・コーザ・ノストラが存在します。
Q3:オメルタとは何ですか?
A3:オメルタとは、マフィアの沈黙の掟です。組織内部の情報を外部に漏らさず、警察や司法機関への協力を避けるという秘密主義を象徴する規範です。
Q4:マフィアのボスとカポは何が違いますか?
A4:ボスはファミリー全体の最高責任者です。一方、カポは組織内の一定の集団をまとめる幹部で、ボスなどの上位者の下で活動します。
Q5:マフィアと暴力団は同じですか?
A5:同じではありません。マフィアは主にイタリアの組織犯罪に由来する言葉で、暴力団は日本の社会的・歴史的背景から形成された犯罪組織です。組織的な犯罪や上下関係などの共通点はありますが、法制度や歴史的な成り立ちが異なります。
Q6:マフィアとトクリュウの違いは何ですか?
A6:マフィアはファミリーやクランなどの組織的な結び付きが特徴ですが、トクリュウは匿名性と流動性が特徴です。SNSなどを通じて実行犯を募集し、中核人物が匿名のまま犯罪収益を得る構造が問題になっています。
Q7:2026年現在もマフィアは存在していますか?
A7:存在しています。2026年10月には、ンドランゲタに関係する人物181人が32か国で逮捕されたとイタリア内務省が発表しました。シチリアやナポリでも摘発が続いており、国際的な犯罪ネットワークへの対策が進められています。
まとめ:マフィアとは何か、その歴史と2026年の実態
マフィアとは、19世紀のシチリア島で形成された組織犯罪集団を起源とする言葉です。
コーザ・ノストラを代表として、カモッラやンドランゲタ、アメリカン・マフィアなど、歴史や地域によって異なる組織が存在します。
その特徴は、ボスやカポなどによる階層構造、オメルタという沈黙の掟、恐喝や麻薬取引などの犯罪活動、そして合法的な経済活動への不正な浸透です。
日本の暴力団とは歴史や法制度が異なり、トクリュウとは組織構造や人間関係の形成方法に違いがあります。
2026年現在も国際的な摘発が続いていることから、マフィアは過去の映画や歴史の中だけに存在するものではありません。
マフィアを正しく理解する鍵は、暴力的なボスの人物像ではなく、犯罪組織が経済・政治・地域社会にどのように影響力を及ぼすのかという構造にあります。 それこそが、マフィアの歴史から現代の国際組織犯罪までを理解するうえで欠かせない視点です。
参考にした主な公的・学術資料
- FBI「La Cosa Nostra」
- INTERPOL「I-CAN Phase 2」
- イタリア反マフィア捜査局(DIA)2024年活動報告
- イタリア内務省・2026年10月9日発表
- イタリア財務警察・2026年9月24日発表
- 警察庁「令和6年版警察白書」
- 国家公安委員会・2026年4月2日記者会見
- Cambridge University Press、2026年刊行『Understanding the Mafia』