2016年に放送されたNHK大河ドラマ『真田丸』で、長澤まさみが演じたのは、主人公・真田信繁(堺雅人)の幼なじみである「きり」です。真田家の重臣・高梨内記の娘として登場し、信繁への一途な恋心を抱きながら、戦国の動乱を生き抜いていく重要な女性として描かれました。
物語の序盤では、信繁の初恋の相手・梅(黒木華)との関係に揺れ、視聴者から「うざい」と評されることもあったきり。しかし、信繁の人生に長く寄り添い、大坂の陣を前に彼の決断を後押しする存在へと変わっていきます。2026年は放送から10年。NHKアーカイブスの人物録や番組情報、出演者インタビューを手がかりに、長澤まさみの役柄、梅との恋のライバル関係、信繁との結末、作品の見どころを整理します。
【役柄を解説】長澤まさみが演じた『真田丸』のきりとは?

真田信繁の幼なじみで、高梨内記の娘
きりは、真田家の重臣である高梨内記(中原丈雄)の娘。主人公・真田信繁(堺雅人)とは幼い頃からの付き合いで、梅(黒木華)とも親しい関係にあります。
信繁に対して遠慮なく意見を言い、時には相手の立場を考えずに行動することもある、非常に個性的な女性です。戦国時代の女性というと、夫や家を陰から支える控えめな人物像を想像しがちですが、きりはそのイメージに収まりません。
信繁がどこへ行こうとも自分の意思で行動し、時には危険な状況にも飛び込んでいきます。恋愛だけでなく、情報収集や人間関係の調整など、物語を動かす役割も担っています。
三谷幸喜が与えた「戦国のヤンキー」という人物像
きりのキャラクターを語るうえで欠かせないのが、脚本を担当した三谷幸喜による「戦国のヤンキー」というコンセプトです。
長澤まさみは2015年のクランクイン時の取材会で、きりについて制作側からそのようなキーワードを与えられたことを明かしています。また、2016年12月の番組出演時にも、現代語に近い話し方や、型にはまらない行動が特徴的な役柄だったと振り返っています。
実際、きりの話し方は周囲の武将や女性たちと比べても独特です。身分や年齢を過度に意識せず、信繁にも率直な口調で接します。時代劇の伝統的な女性像から意図的に距離を取った人物設計です。
長澤まさみの明るさ、率直さ、表情の豊かさが、この独特なキャラクターに説得力を与えました。単なる恋愛相手ではなく、戦国という厳しい時代に現代的な視点を持ち込む存在として機能しています。
長澤まさみのNHK出演歴と『真田丸』の位置づけ
NHKアーカイブスの人物録では、長澤まさみは映画『世界の中心で、愛をさけぶ』や『MOTHER マザー』などでの演技が評価される俳優として紹介されています。
NHK作品でも、大河ドラマ『功名が辻』『天地人』『真田丸』などに出演してきました。『真田丸』は、そうした出演歴の中でも、長い物語を通じて一人の女性の成長と恋愛を表現した印象的な役柄です。
とりわけ、きりは登場から終盤まで物語に関わり続ける人物です。主人公のそばにいるだけではなく、信繁が人生の重大な決断を下す局面で、その考えを理解し、言葉にする役割を果たしました。
【恋のライバル関係】きりと梅(黒木華)はなぜ対照的に描かれた?
信繁が最初に心を寄せたのは梅
きりの恋愛を理解するうえで重要なのが、黒木華が演じた梅の存在です。
梅は信繁の幼なじみで、信繁が恋心を抱く女性。きりも信繁に思いを寄せていますが、信繁の気持ちが梅に向いていることを理解しています。
この三角関係が明確になるのが、第11回「祝言」です。NHKオンデマンドの公式あらすじによると、信繁は梅を妻に迎えようとしますが、母・薫(高畑淳子)が反対。きりも信繁の決意に大きな衝撃を受けます。
恋愛面では、きりにとって苦しい展開です。幼い頃から信繁の近くにいたにもかかわらず、最初に選ばれたのは自分ではありませんでした。
しかし、この展開はきりを単純な失恋ヒロインにするためのものではありません。梅との関係を通じて、きりが自分の感情と向き合い、信繁との距離を保ちながらも関わり続ける物語の出発点になっています。
梅ときりの違いは、信繁との距離感にある
梅ときりは、同じ信繁を思う女性でありながら、性格や物語上の役割が異なります。
梅は信繁の初恋を象徴する存在です。信繁が若い時期に抱く恋愛感情と、家庭を築こうとする思いに深く結びついています。
一方のきりは、信繁の人生全体に関わる人物です。恋愛感情を持ち続けながらも、彼の成長、政治的な立場の変化、戦国大名たちとの駆け引きなど、さまざまな局面に立ち会います。
梅が信繁の青春時代を象徴する女性だとすれば、きりは人生の長い道のりを共有する女性として描かれています。
梅と黒木華の関係を整理すると?
黒木華は梅を演じた俳優です。長澤まさみとの間に現実の恋愛上の競争があったわけではなく、あくまでドラマの登場人物同士の関係です。
また、梅ときりの関係は単純な敵対関係でもありません。幼なじみとしてのつながりがあり、信繁への恋心が二人の間に複雑な感情を生み出します。
第12回「人質」では、信繁が上杉景勝のもとへ人質として赴く一方、残された梅がきりに意外な事実を明かします。NHKの公式エピソード紹介でも、二人の関係が物語の重要な要素として扱われています。
【人物相関表】長澤まさみ・堺雅人・黒木華ら『真田丸』主要人物の関係
きりの立ち位置を理解するには、信繁を中心とした人物関係を整理すると分かりやすくなります。主要キャストと劇中での関係は次のとおりです。
| 登場人物 | 出演者 | きりとの関係・物語上の役割 |
|---|---|---|
| きり | 長澤まさみ | 高梨内記の娘。信繁の幼なじみで、生涯にわたって彼を支える女性。 |
| 真田信繁 | 堺雅人 | きりが思いを寄せ続ける主人公。戦国の動乱を生き抜き、大坂の陣へ向かう。 |
| 梅 | 黒木華 | 信繁が最初に妻に迎えようとする女性。きりの恋のライバル。 |
| 高梨内記 | 中原丈雄 | きりの父。真田家に仕える重臣。 |
| 佐助 | 藤井隆 | 真田家に仕える忍び。物語終盤できりに求婚する。 |
| 真田昌幸 | 草刈正雄 | 信繁の父。真田家の存続をかけて策略を巡らせる。 |
| 徳川家康 | 内野聖陽 | 信繁の主要な敵対者。豊臣と徳川の対立を象徴する存在。 |
| 春 | 松岡茉優 | 信繁の正室として描かれる女性。大坂編でも重要な役割を担う。 |
この関係から分かるのは、きりが単に信繁を好きな女性として配置されているわけではないという点です。真田家の内部事情にも関わり、信繁を取り巻く女性たちや家臣たちとも関係を築いています。
特に佐助との関係は、きりの恋愛観を理解するうえで興味深い要素です。信繁への思いを貫くきりの一途さが、終盤のユーモラスな場面にもつながっています。
【評判を検証】きりはなぜ「うざい」から「うざかわいい」に変わった?
序盤は現代的な言葉遣いと率直さが賛否を呼んだ
『真田丸』の放送当初、きりは視聴者の間で賛否が分かれたキャラクターでした。
主な理由は、戦国時代を舞台にしたドラマの中で、現代的な言葉遣いをすること、信繁に遠慮なく意見すること、そして恋愛感情を隠さず行動することです。
歴史ドラマに重厚な時代劇らしさを求める視聴者にとって、きりの軽快な話し方は異質に映りました。信繁に対する態度も、序盤では距離感が近すぎるように感じられたようです。
2016年12月のスポニチアネックスの報道でも、序盤には「きりがウザい」という反応があった一方、終盤には信繁の大坂城入りを後押しする言葉が視聴者の心を動かしたと紹介されています。
長澤まさみ本人はきりの評価をどう受け止めた?
長澤まさみは、2016年のMANTANWEBのインタビューで、序盤の否定的な反応について振り返っています。
本人によれば、共演者から励まされることはあったものの、自身はそれほど気にしていなかったとのこと。むしろ、きりは最後には魅力的な人物として受け入れられると考えていたと語っています。
また、長澤はきりの人物像について、視聴者の受け止め方が変化したという見方を示しました。
「きりは視聴者の方の目線になることが役割なの可能性がありますね」
この発言は、きりの存在意義を考えるうえで重要です。戦国時代の複雑な政治や武将同士の駆け引きを、視聴者に近い立場から見つめる人物として設計されていたのです。
加えて、共同通信系のエンタメOVOによる2016年12月のインタビューでは、長澤は信繁が何を考えているかを理解し、その考えを代弁するのがきりの役割だったと説明しています。
つまり、きりの魅力は性格が途中で別人のように変わったことではありません。周囲の状況が変わることで、同じ率直さや正論が違う意味を持つようになったことにあります。
きりの評判が後半で上向いた3つの理由
1つ目は、長年にわたる信繁への理解です。若い頃から信繁を知るきりは、彼の性格や考え方を誰よりも把握しています。政治的な立場が変わっても、その本質を見失いません。
2つ目は、恋愛以外の役割が明確になったことです。きりは信繁の恋人候補という枠を超え、彼の決断を支える存在になっていきます。大坂編では、その役割が特に際立ちます。
3つ目は、長澤まさみの演技です。感情を隠さない表情やテンポのよい会話は、序盤ではコミカルに映りますが、後半では長い年月を一緒に過ごした人物だからこそ伝えられる言葉として響きます。
きりへの評価の変化は、キャラクターの方向転換というより、視聴者が彼女の存在意義を理解していく過程だったと考えられます。
【大坂の陣と名シーン】きりは信繁の生涯のパートナーになった?
大坂城への帰還を後押ししたきりの言葉
きりの物語における大きな転換点が、信繁の大坂城入りです。
信繁は関ヶ原の戦いの後、父・昌幸とともに九度山での生活を送ります。しかし、豊臣家と徳川家の対立が深まり、大坂での決戦が迫ると、再び歴史の表舞台へ出る決断を迫られます。
このとき、信繁の背中を押す重要な存在がきりです。長年そばにいた彼女は、信繁が本当に何を望んでいるのかを理解しています。
2016年12月の共同通信系インタビューで、長澤まさみは、信繁の大坂城入りを決める場面について、きりは彼の考えを代弁する役割だったと振り返っています。
きりが伝えるのは、単純な恋愛感情ではありません。信繁自身が心の奥底に抱えていた思いを、幼なじみだからこそ理解し、言葉にすることです。
第48回「引鉄」では佐助から求婚される
きりの恋愛をめぐる印象的な場面が、第48回「引鉄」です。
真田家に仕える忍びの佐助(藤井隆)は、徳川家康の暗殺という危険な任務に向かう前、きりに結婚を申し込みます。
しかし、きりの返事は驚くほど早いものでした。信繁への思いを抱き続けている彼女は、佐助の申し出を即座に断ります。
この場面は、戦いが迫る緊張感の中に三谷幸喜らしいユーモアを加えています。同時に、きりの気持ちが最後まで変わっていないことを印象づける場面でもあります。
第49回「前夜」のキスシーンが大きな見どころ
きりと信繁の関係が大きく動くのは、第49回「前夜」です。
大坂夏の陣を目前に控え、信繁は死を覚悟して行動します。これまで長くそばにいたきりに最後の使命を託し、二人の間には、それまでとは違う感情が表れます。
信繁がきりを抱き寄せてキスをする場面は、物語終盤を代表する名シーンの一つです。長年報われなかったきりの恋が、ようやく形になった瞬間でもあります。
このシーンについては、長澤まさみが2024年に出演した番組で、キスしながら話す演技は堺雅人からの提案をきっかけに、自身がアイデアを出したものだったと振り返ったことも報じられています。三谷幸喜も、長澤らしい演技として評価していました。
単に恋愛が成就するだけではなく、長年の関係を積み重ねてきた二人だからこそ成立する演出です。
大坂の陣で信繁を支えたきりの最後の使命
第49回では、信繁がきりに最後の使命を託します。NHKオンデマンドの公式あらすじでも、豊臣方と徳川方の最終決戦を前に、きりに重要な役目が与えられる展開が紹介されています。
それは、戦場で武功を立てることではなく、戦いの行方を左右する重要な人物を守り、託された役割を果たすことでした。
第50回の最終回では、大坂夏の陣が本格化し、信繁は徳川家康との決戦に向かいます。豊臣方の敗色が濃くなる中でも、最後まで戦い抜く姿が描かれました。
きりは、信繁と同じ戦場で武将として戦う人物ではありません。しかし、彼が人生の最後に向かう過程で、欠かすことのできない存在になっています。
NHKアーカイブスの『真田丸』人物録では、出演者のインタビューや名シーン動画が紹介されています。長澤まさみの演技を改めて見たい人にとって、作品の記録映像や出演者の振り返りは、きりの魅力を再発見する手がかりになります。
【史実とドラマの違い】きりは実在した?梅との恋愛は本当?
きりのモデルは高梨内記の娘と考えられている
『真田丸』を歴史ドラマとして見る場合、きりの実在性は押さえておきたいポイントです。
歴史研究者の黒田基樹氏(駿河台大学法学部教授)は、2016年12月12日に公開した『真田丸』の解説で、実際の高梨内記の娘について説明しています。
史料から確認できるのは、真田信繁の側室だった高梨内記の娘という女性です。ドラマの「きり」という名前や性格、具体的な恋愛エピソードがそのまま史実に残っているわけではありません。
黒田氏の解説によれば、この女性は信繁の三女・梅と四女・あぐりの母とみられています。一方、信繁の戦死時まで生存していたかどうかは確認されていません。
したがって、きりは完全な架空の人物というより、実在した女性をモデルに、三谷幸喜が独自の人物像と物語を与えたキャラクターとして理解するのが適切です。
ドラマの梅と史料上の梅は同じ人物ではない
ここには、意外と知られていない重要な違いがあります。
ドラマで黒木華が演じた梅は、信繁が若い頃に恋心を抱く女性です。一方、黒田氏の解説に登場する史料上の三女・梅は、高梨内記の娘、つまりきりのモデルとされる女性が産んだ子です。
同じ「梅」という名前ですが、ドラマの恋愛相手としての梅と、史実に登場する信繁の娘・梅は別の人物です。
この違いを知らないと、きりと梅の恋愛関係や、信繁の子どもたちの母親について混乱しやすくなります。
史実とドラマを比較すると見えてくる創作の意図
史実では、戦国武将の家族関係や側室について、具体的な人物像や日常生活まで分かる記録が残っているとは限りません。
そのため、大河ドラマでは史料に記された人物や出来事を土台にしながら、人物同士の感情や会話、恋愛関係を補って物語を構成することがあります。
『真田丸』のきりも、その典型です。史料に残る高梨内記の娘という存在をもとに、幼なじみとしての関係、梅との恋の競争、信繁への長年の思い、大坂の陣での役割が組み立てられています。
史実では名前や生涯の詳細が分からない女性に、長澤まさみの演技と三谷幸喜の脚本によって、一人の印象的なヒロインとしての人生が与えられたのです。
【プロの結論】長澤まさみのきりが『真田丸』に残した本当の意味
『真田丸』のきりを評価する際、単純に「信繁と結ばれた女性」という結果だけを見るのは十分ではありません。
注目すべきなのは、きりが物語の初期から最後まで、基本的な性格を変えずに存在し続けたことです。
信繁に遠慮なく意見を言い、感情を隠さず、時には周囲を困らせる。その特徴は序盤では欠点のように見えました。しかし、信繁が大人になり、周囲に本音を言える相手が少なくなっていくにつれて、きりの率直さは大きな価値を持つようになります。
ここに、三谷幸喜の脚本の巧みさがあります。
主人公の成長を描くとき、周囲の人物も劇的に変化させる手法があります。しかし、きりの場合は本人の本質を大きく変えるのではなく、主人公と周囲の環境が変わることで、同じ人物の見え方を変えています。
長澤まさみの演技も、その構造を支えました。序盤のコミカルな表情や軽快な会話から、終盤の切実な表情や信繁への思いまで、同じ人物として一貫性を保っています。
また、きりは戦国時代の政治や戦争を、視聴者に近い目線で見る役割も担っています。武将たちの決断をただ受け入れるのではなく、疑問を投げかけ、時には反対し、物語に人間的な温度を与える存在です。
その意味で、きりは『真田丸』の恋愛担当にとどまらない、物語全体をつなぐ重要なヒロインでした。
『真田丸』をこれから見る人には、序盤の第3回「策略」、第11回「祝言」、第12回「人質」、そして第48回「引鉄」と第49回「前夜」を続けて見ることをおすすめします。きりの恋愛、人物像の評価、信繁との関係がどのように変化していくのかを理解しやすい構成です。
【長澤まさみと真田丸】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:長澤まさみは『真田丸』で何役を演じましたか?
A1:真田信繁の幼なじみである、きり役を演じました。きりは真田家の重臣・高梨内記の娘で、信繁に一途な思いを寄せる女性です。
Q2:『真田丸』のきりと梅は恋のライバルですか?
A2:はい。梅(黒木華)は信繁が最初に妻に迎えようとする女性で、きりは信繁に思いを寄せながらも、梅との関係に悩みます。二人は幼なじみでもあります。
Q3:きりは最後に真田信繁と結ばれますか?
A3:ドラマでは、第49回「前夜」で信繁がきりを抱き寄せてキスする場面が描かれます。長年の思いがようやく報われる、物語を代表する恋愛シーンです。
Q4:きりは史実に実在した人物ですか?
A4:モデルと考えられる高梨内記の娘は実在したと考えられています。ただし「きり」という名前や、ドラマで描かれた恋愛エピソードの多くは創作です。
Q5:長澤まさみのきりが「うざい」と言われた理由は何ですか?
A5:現代的な言葉遣いや、信繁に対する遠慮のない態度が理由です。ただし物語後半では、率直に意見を言えるきりの存在が信繁を支えるものとして受け止められるようになりました。
Q6:『真田丸』のきりの名シーンは何回で見られますか?
A6:信繁と梅の関係が大きく動く第11回「祝言」、きりの立場が見えてくる第12回「人質」、佐助の求婚が描かれる第48回「引鉄」、信繁との関係が結実する第49回「前夜」がおすすめです。
Q7:『真田丸』は全何話ですか?
A7:全50回です。2016年1月10日に放送が始まり、同年12月18日に最終回を迎えました。2026年は放送開始から10年に当たります。
まとめ:長澤まさみが演じたきりは信繁の人生を支えた特別な存在
長澤まさみが『真田丸』で演じたきりは、真田信繁の幼なじみであり、長年にわたって彼を思い続けた女性です。
黒木華演じる梅との恋の競争では一度は敗れ、序盤には「うざい」という評価も受けました。しかし、信繁の人生に寄り添い続けることで、きりの率直さや一途さは物語に欠かせない魅力へと変わっていきます。
大坂城への帰還を後押しする場面、第49回「前夜」のキスシーン、そして大坂の陣で託された最後の使命。これらの展開は、きりが単なる恋愛相手ではなく、信繁の人生を深く理解したパートナーだったことを示しています。
一方、史実では高梨内記の娘という女性の存在が知られているものの、ドラマのきりの人物像や恋愛の経緯がそのまま歴史的事実だったわけではありません。史実の断片をもとに、三谷幸喜が魅力的なヒロインへと作り上げた点にも注目したいところです。
2026年、放送から10年を迎えた『真田丸』。長澤まさみのきりを改めて見直すと、序盤の奔放な言動から終盤の深い愛情まで、同じ人物の魅力が違った形で伝わってきます。信繁の生涯をもう一度たどるなら、きりの視点にも注目してみてください。