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【2019年の炎上】第112話・第113話で何が問題になったのか?

榊原 真央 榊原 真央 • 更新: • 公開: • 読了約 18 分
目次

『王様ランキング』の最初の大きな論争は、2019年12月に公開された第112話・第113話をめぐるものです。このエピソードは単行本第9巻に収録されている部分にあたります。

批判の中心になったのは、作中に登場する魔法立国ホウマとギャクザという2つの国の歴史的な関係でした。

ホウマ国とギャクザ国の関係

物語上の展開を整理すると、問題視されたのは次のような構図です。

- ホウマ国は、貧しいギャクザ国に支援を行い、国の発展に関わる。
- ギャクザ国はホウマ国の支援によって豊かになっていく。
- その後、ホウマ国が神国との戦争で敗れる。
- ギャクザ国はホウマ国に対する見方を変え、過去の関係を搾取された歴史として捉えるようになる。

この展開について、一部の読者が現実の日本と韓国の近代史を連想しました。

特に、ホウマ国を日本、ギャクザ国を韓国に対応させる解釈が広がったことが、議論を大きくした要因です。

日本と韓国がモデルという説は本当なのか?

公式確認なし

ここが炎上の真相を理解するうえで最も要点です。

ホウマ国とギャクザ国の関係が日本と韓国をモデルにしているという説は、あくまで読者側から提示された解釈です。

作者の十日草輔氏が、この2つの国を日本と韓国になぞらえて描いたと公式に認めた事実は確認できません。

また、作者や出版社による、モデルとなった国を特定する公式説明も確認できません。

つまり、次の2つは分けて考える必要があります。

- 確認できること: 2019年のエピソードをめぐり、日本と韓国の歴史を連想する読者から批判が起きた。
- 確認できないこと: 作者が日本と韓国を意図的にモデルとして設定したという事実。

作品内の描写が現実の歴史と似ていると感じること自体は、読者の自由な解釈です。しかし、その解釈を作者の政治的思想として断定するには別の根拠が必要です。

なぜここまで議論が大きくなったのか

背景には、歴史認識の問題があります。

日本と韓国の近代史は、植民地支配や戦争、戦後の歴史認識など、現在もさまざまな立場から議論されるテーマです。

そのため、ある国が別の国を発展させたという描写や、支援を受けた側が後に支援国を批判する展開は、単なる架空の国家間の対立として受け止められない読者もいました。

一方で、架空の世界に現実の歴史を重ねすぎるべきではないという考え方もあります。

この問題は、作品のストーリー解釈と現実の歴史認識が交差したことによって、通常の漫画批評よりも政治的な論争に発展したものです。

【時系列で検証】作品への批判と十日草輔氏への誹謗中傷は別問題

王様ランキング炎上

『王様ランキング』の炎上を調べる際に注意したいのが、2019年の作品批判と2024年の名誉毀損疑いを同じ事件として扱わないことです。

両者は関連する話題として検索されますが、発生時期も問題となった内容も異なります。

騒動の経緯を年表で整理

時期 出来事 確認できる内容 2017年5月 Web連載開始 マンガハックで作品の連載が始まる。 2018年 作品が話題に 口コミやSNSを通じて読者を増やし、次にくるマンガ大賞2018のWebマンガ部門にもノミネート。 2019年12月 第112話・第113話をめぐる議論 ホウマ国とギャクザ国の関係が日本と韓国の歴史を連想させるとして批判が起きる。 2022年7月2日 Xへの投稿 後に名誉毀損の疑いで書類送検された女性による投稿が行われたと報道される。 2023年4月 警察への相談 十日氏の弁護士が警察署に相談したと千葉日報が報道。 2023年春 原作の更新が停止 連載の長期休止期間に入る。 2024年10月11日 女性を書類送検 千葉県警習志野署が名誉毀損の疑いで書類送検したと報道。 2024年12月31日 連載再開 マンガハックで更新が再開される。 2025年〜2026年 単行本刊行・連載継続 2026年10月9日に単行本第23巻が発売。

何が作品批判で、何が誹謗中傷なのか?

両者の違いは、批判の対象にあります。

作品批判の例

- ホウマ国とギャクザ国の描写に歴史的な偏りを感じる。
- 特定の国を連想させる設定には慎重であってほしい。
- ストーリーの展開やキャラクターの行動に納得できない。

これらは作品の表現や内容に対する意見です。

作者個人への誹謗中傷にあたる可能性がある行為

- 根拠のない犯罪的・性的な属性を作者に結び付ける。
- 個人の社会的評価を低下させる事実を公然と摘示する。
- 作品への不満を理由に、作者の人格や私生活を攻撃する。

後者は内容や状況によって名誉毀損などの法的問題になり得ます。

作品の評価が厳しいことと、作者個人の名誉を傷つけることは同じではありません。

この区別を理解することが、今回の騒動を正しく捉える第一歩です。

【2024年10月の書類送検】十日草輔氏へのX投稿で何が起きた?

2024年10月11日報道

2024年10月11日、漫画『王様ランキング』の作者・十日草輔氏に対するSNS投稿をめぐり、千葉県警習志野署が女性を名誉毀損の疑いで書類送検したことが報じられました。

このニュースは共同通信の配信記事として千葉日報オンラインなどで報道され、大きな注目を集めました。

書類送検された投稿者と投稿内容

報道によると、書類送検されたのは香川県善通寺市に住む当時30歳の女性です。

問題となった投稿は、2022年7月2日夜にX(当時のTwitter)へ投稿されたものでした。

投稿には、作品を読んだ後に不快感を覚える理由を作者の政治的思想や性的属性に結び付ける内容が含まれていたと報じられています。

警察の発表によれば、女性は容疑を認め、好きな別の漫画に『王様ランキング』の内容が似ていると思い、怒りを発散しようとした趣旨の説明をしたとされています。

また、十日氏の弁護士が2023年4月に警察署へ相談していたことも報じられました。

書類送検は逮捕や有罪判決とは違う

ここは誤解されやすい部分です。

書類送検とは、警察が捜査した事件について、関係書類や証拠を検察官に送る手続きです。

用語 意味
書類送検 警察が事件の書類・証拠を検察に送ること
起訴 検察官が刑事裁判を求めること
有罪判決 裁判所が犯罪の成立を認めること
不起訴 検察官が刑事裁判を求めない処分

したがって、2024年10月11日の報道をもって、女性が有罪になった、あるいは逮捕されたと説明するのは正確ではありません。

今回確認できた報道が伝えているのは、あくまで名誉毀損の疑いによる書類送検です。その後の起訴や判決については、確認できる公表資料から確定的な情報を得られません。

作品の批判をしただけで書類送検されたのか?

答えは違います。

報道された容疑は、作品のストーリーに対する批判ではなく、作者本人に対して性的属性や政治的思想を結び付けた投稿に関するものです。

ここを混同すると、漫画に対する批評そのものが犯罪扱いされたかのような誤解が生まれます。

読者には作品を批判する自由があります。同時に、作者にも根拠のない人格攻撃から名誉を守る権利があります。

この2つは対立するものではなく、両立させるべきものです。

【休載理由と連載再開】2023年から2026年までの最新状況

『王様ランキング』の連載が長期間止まっていたことも、炎上との関係が検索される理由の一つです。

休載はいつから始まった?

原作は2023年春ごろから更新が止まり、長期休載に入りました。

当時は再開時期がはっきりしなかったため、読者の間では連載終了や打ち切りを心配する声もありました。

休載の背景については、SNS上での誹謗中傷や作者の法的対応との関連を指摘する解説記事があります。

実際に2023年4月には作者側の弁護士が警察へ相談していたと報道されており、法的対応が進んでいたことは確認できます。

ただし、休載の理由を一つに限定する公式説明は確認できません。誹謗中傷が休載に影響した可能性と、休載の全期間が特定の事件だけで説明できることは別です。

2024年12月31日に連載再開

長期休載を経て、作品は2024年12月31日に連載を再開しました。

再開後はボッジとカゲの冒険が再び描かれ、物語は新たな展開へ進んでいます。

この再開によって、炎上が原因で作品が打ち切られたという説は事実と異なることが明確になりました。

2026年10月30日現在の連載状況

連載継続中

2026年10月30日現在、単行本の最新刊は第23巻です。


2026年10月9日


KADOKAWA・ビームコミックス
定価924円(税込)・228ページ
ボッジとカゲの旅、毒森での出来事を経て、物語は再びボッス王国へ。


加えて、単話版の配信情報では、第309話が2026年10月30日配信、第310話が11月6日配信予定となっています。

つまり、2026年10月時点で作品は完結しておらず、連載が継続していることも確認できます。

「炎上によって打ち切られた」「作者が作品を放棄した」という説明は、現在の刊行・配信状況とは一致しません。

【ミランジョの結末と作品の評判】なぜ読者の評価が分かれた?

『王様ランキング』の評価を語るうえで、ホウマ国・ギャクザ国の問題と同じくらい重要なのが、ミランジョの結末です。

ミランジョは物語の中で多くの悲劇に関わった人物であり、彼女が最後にどのような扱いを受けるかは、読者の倫理観によって受け止め方が大きく変わります。

ミランジョとダイダの結婚が批判された理由

アニメ第23話「王様と太陽」では、ダイダがミランジョとの結婚を発表し、彼女が犯した過ちを償うと誓います。

これはアニメ公式サイトにも掲載されている最終話のあらすじです。

しかし、この結末には納得できないという視聴者もいました。

批判の主な論点は次の3つです。

1. ミランジョの過去の行為に対する責任

ミランジョはボッジの母シーナやボッス王国に深刻な影響を与えた人物です。

彼女の過去に悲惨な出来事があったことは描かれていますが、それによって被害を受けた人物たちの苦しみが消えるわけではありません。

そのため、過去の罪に対する責任が十分に描かれていないと感じる読者がいました。

2. ダイダが結婚を選ぶ展開

ダイダがミランジョを受け入れることは、物語上では彼女の罪と不幸を引き受ける選択として描かれています。

一方で、読者の立場からは、なぜ結婚という形で救済する必要があるのかという疑問も生まれました。

3. 被害者側の気持ちが十分に扱われているのか

物語では許しや救済が大きなテーマになっています。

しかし、加害者の過去に焦点を当てるほど、被害者が受けた傷や、その後の人生への影響が十分に描かれているのかという問題も浮かび上がります。

この点が、ミランジョの結末に対する批判の核心です。

ただし、ダイダの選択を支持する読者もいます。誰かを許すことを、単純な善悪では説明できない人間の強さとして受け止める見方です。

『王様ランキング』全体の評判は悪いのか?



4.2 / 5.0


Filmarksのアニメ評価
レビュー3万件超の掲載データ


約30,000件


ユーザーレビュー
投稿型評価サービスの集計


この数字からも分かるように、炎上したからといって作品全体の評価が否定的になったわけではありません。

好意的な評価では、次の点が挙げられます。

- ボッジの成長と努力に心を動かされる。
- カゲとの友情が物語の大きな魅力になっている。
- 絵本のような親しみやすい絵柄と、重厚なストーリーの組み合わせが印象的。
- 敵側の人物にも背景があり、単純な善悪では割り切れない。

一方、否定的な評価では次のような意見も見られます。

- 後半の展開や回想が多く、物語のテンポが落ちたと感じる。
- ミランジョとボッスの扱いに納得できない。
- ダイダとミランジョの結婚に違和感がある。
- 登場人物の行動や和解の過程に説明不足を感じる。

実際、Filmarksの個別レビューにも、作画やキャラクターを高く評価する一方で、ミランジョの救済や結婚には疑問を示す投稿があります。

つまり、作品への評価は「炎上したから低評価」という単純な構造ではありません。

むしろ、作品の魅力を認めながらも、特定のエピソードや結末には納得できないという複雑な評価が存在しています。

【プロの結論】王様ランキング炎上から読み取るべき3つのポイント

『王様ランキング』の炎上を振り返ると、単なる漫画の好き嫌いでは片付けられない問題が見えてきます。

1. 作品の表現と作者の思想を同一視しない

フィクションの描写には、さまざまな解釈が生まれます。

ホウマ国とギャクザ国の関係を日本と韓国の歴史に重ねることも、作品に対する批評の一つです。

ただし、読者の解釈と作者が実際に意図したことは別問題です。

作品の内容を批判するのであれば、どの場面の何が問題なのかを具体的に説明することが、建設的な議論につながります。

2. 作者への批判には責任が伴う

2024年10月の書類送検報道が示したのは、SNS上の発言にも法的責任が問われる場合があるということです。

作品に不満を感じることも、作者の表現に疑問を持つことも自由です。

しかし、根拠のない個人攻撃や人格を傷つける投稿は、作品批評とは別の問題になります。

SNSでは、感情的な投稿が瞬時に拡散されます。投稿前に、その内容が作品への意見なのか、個人への攻撃なのかを考える必要があります。

3. 物語の評価は炎上だけで決めない

『王様ランキング』には、ボッジの成長、カゲとの友情、家族や仲間との関係など、多くの魅力があります。

一方で、国家間の描写やミランジョの救済に疑問を感じる読者がいることも事実です。

作品全体を評価するなら、好きな部分と納得できない部分を分けて考えることが大切です。

『王様ランキング』は、批判を受けたエピソードがある一方、2026年10月現在も新刊と最新話が刊行・配信されている連載作品です。炎上と作品の存続、作者への誹謗中傷と読者の批評は、それぞれ独立した問題として捉える必要があります。

【王様ランキングの炎上】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:王様ランキングのホウマ国とギャクザ国は日本と韓国がモデルですか?

A1:一部の読者が日本と韓国の歴史を連想して批判したことは知られています。しかし、作者が両国をモデルにしたと公式に認めた事実は確認できません。日本と韓国のモデル説は、読者による解釈として扱う必要があります。

Q2:十日草輔氏への誹謗中傷で逮捕者が出たのですか?

A2:2024年10月11日、作者へのX投稿をめぐって、30歳の女性が名誉毀損の疑いで書類送検されたと報道されました。書類送検は逮捕や有罪判決とは異なります。また、作品批判そのものが処分対象になったという報道ではありません。

Q3:王様ランキングは2026年現在も休載中ですか?

A3:いいえ。2024年12月31日に連載が再開されています。2026年10月9日には単行本第23巻が発売され、10月30日には単話版第309話が配信されています。作品は完結しておらず、連載が続いています。

まとめ:王様ランキング炎上の真相と2026年以降の注目点

『王様ランキング』の炎上には、2019年のホウマ国・ギャクザ国をめぐる歴史的な解釈と、2024年の十日草輔氏に対するSNS投稿の名誉毀損疑いという、異なる2つの問題があります。

日本と韓国がモデルという説は公式に確認されておらず、作者への書類送検報道も作品批判そのものを対象にしたものではありません。また、2023年からの長期休載を経て2024年12月に連載が再開され、2026年10月には単行本23巻まで刊行されています。

ミランジョの結末など、読者の評価が分かれる部分は残っています。しかし、作品の一部分に対する批判と作品全体の価値は分けて考えるべきです。ボッジとカゲの冒険が今後どのような結末に向かうのか、引き続き注目されます。

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榊原 真央

取材デスクとして10年以上の取材経験。geinou領域の公式発表・配信元の告知を一次情報として確認し、確認できない情報は記事に含めない方針です。

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