- ウルスラの正体: 18歳の画家志望の少女。森の小屋をアトリエにして絵を描いている。 声優: キキとウルスラは、どちらも高山みなみが担当する一人二役。 キキとの関係: 魔法が使えなくなったキキに、自分の創作経験を通じて立ち直るきっかけを与える年上の友人。 絵のモデル: 青森県八戸市の中学生たちが1976年に共同制作した教育版画が原型。 物語での役割: 才能のスランプや自分らしさを見失う苦しさを、キキに伝える重要人物。
【人物像を解説】ウルスラは何者?年齢・職業・森の小屋での暮らし
ウルスラは、『魔女の宅急便』に登場する18歳の画家志望の女性です。主人公キキより5歳年上で、森の中にある小屋をアトリエにして、絵を描きながら生活しています。
日本テレビの金曜ロードショー公式コラムでも、ウルスラは18歳と紹介されています。
13歳で魔女修行に出たキキにとって、ウルスラは少し先の人生を歩いている年上の友人です。母親や町の大人とは違い、同じように悩みながら自分の道を探している存在でもあります。
森の小屋はウルスラにとって創作の場所
ウルスラが暮らす森の小屋は、都会の喧騒から離れた静かな場所です。
小屋の周辺にはカラスが集まり、ウルスラはその姿を観察しながら絵を描いています。彼女にとって森は、単に住む場所ではなく、自分の感性と向き合うためのアトリエです。
この暮らし方は、コリコの街で宅配便の仕事に追われるキキと対照的です。
キキは人との関わりの中で自分の居場所を探しています。一方、ウルスラは一人で過ごす時間の中で、自分の表現を探しています。
同じ「自立」を目指す若い女性でも、その方法は異なるのです。
ウルスラは本当に魔女なのか?
実は、この疑問には興味深い制作背景があります。
日本テレビの金曜ロードショー公式コラムでは、宮崎駿監督のウルスラに関する発言が紹介されています。
監督は、ウルスラについて「絵描きのお姉さんも魔女だと思う」という趣旨のコメントを残しています。
ここでいう魔女は、必ずしもほうきで空を飛ぶ魔法使いという意味ではありません。
カラスを引きつけ、キキの心まで動かしてしまうような、人を惹きつける力を持った女性という解釈ができます。
実際、ウルスラが魔法を使う場面はありません。彼女の特別な力は、絵を描く才能と人の心を理解する感性にあるのです。
【登場シーンを時系列で整理】キキとの出会いから山小屋での会話まで
ウルスラの登場シーンは多くありません。しかし、物語の前半と後半をつなぐ重要な役割を果たしています。
1.森でキキの落としたぬいぐるみを拾う
ウルスラとキキが最初に出会うのは、キキが宅急便の仕事を始めたばかりの頃です。
初めての配達で、キキは黒猫のジジに似たぬいぐるみを届けることになります。
ところが、飛行中に荷物を落としてしまい、ぬいぐるみは森の中へ。
探しに戻ったキキは、森の小屋で絵を描いていたウルスラと出会います。
ウルスラはぬいぐるみを拾っていましたが、カラスに突かれて傷んでいました。そこで修理を引き受け、キキはその間に小屋の掃除を手伝います。
この何気ない出来事が、2人の友情の始まりになります。
2.ウルスラが描いた絵とキキの再会
物語が進むと、キキは仕事や人間関係で思いどおりにいかない経験を重ねます。
特に大きな転機となるのが、魔法の力が弱まり、ほうきで飛べなくなってしまう出来事です。
落ち込んだキキのもとを訪れたウルスラは、彼女を自分の山小屋へ誘います。
そこでキキは、ウルスラが描いた大きな絵を目にします。
その絵にはキキをイメージした少女が描かれていました。
キキは自分がそんなに美人ではないと照れますが、ウルスラは彼女の表情を肯定します。
この会話には、外見だけではなく、その人が抱えている感情まで絵に映し出されるという、ウルスラの画家としての感性が表れています。
3.自分のスランプをキキに打ち明ける
山小屋での会話は、ウルスラという人物を理解するうえで最も重要な場面です。
ウルスラは、キキくらいの年齢で絵描きになろうと決めたことを語ります。
最初は絵を描くことが楽しくて仕方なかったものの、ある日突然、何を描いても気に入らなくなってしまったといいます。
その原因として気づいたのが、それまで描いていた絵が誰かの真似になっていたことでした。
つまり、技術的に絵を描けなくなったというより、自分自身の表現を見失っていたのです。
ウルスラは自分の失敗や苦しみを隠しません。
だからこそ、キキも安心して自分の悩みを話すことができます。
【人物相関・関係性】ウルスラとキキはどんな関係?
2人の関係を理解するには、単に「年上の友達」という説明だけでは足りません。
ウルスラはキキの悩みを理解できる経験者であり、同時に自分自身も成長の途中にいる人物です。
主な登場人物と関係を整理すると、次のようになります。
この関係から見えてくるのは、ウルスラがキキに答えを与える先生ではなく、同じような挫折を経験した先輩だということです。
キキとウルスラは成長段階の違う女性?
日本テレビの公式コラムには、作品に登場する女性キャラクターについて興味深い説明があります。
キキが13歳、ウルスラが18歳、おソノが26歳、コキリが37歳、老婦人が70歳という年齢構成です。
それぞれが、人生の異なる段階を代表する女性として描かれているという考え方です。
この視点で見ると、ウルスラはキキの少し先の未来を象徴する存在にもなります。
キキが将来、どのような大人になるのか。その可能性の一つを、ウルスラという人物が見せているのです。
【声優の秘密】ウルスラとキキは同じ高山みなみ!一人二役の理由
声優・ナレーター
- 誕生日:5月5日
- 出身地:東京都
- 代表的な出演作:『名探偵コナン』『忍たま乱太郎』
- 『魔女の宅急便』:キキ/ウルスラ
ウルスラの声優は高山みなみです。
そして、驚くべきことに主人公キキの声も同じ高山みなみが担当しています。
これは単なる偶然のように見えて、作品の演出とも深く結びついています。
高山みなみの代表作と声の演じ分け
所属事務所81プロデュースの公式プロフィールには、『魔女の宅急便』の出演役としてキキとウルスラの両方が記載されています。
また、高山みなみは次のような作品でも知られています。
- 『名探偵コナン』:江戸川コナン
- 『忍たま乱太郎』:乱太郎
- 『ゲゲゲの鬼太郎』第5期:鬼太郎
- 『ミスター味っ子』:味吉陽一
特に『名探偵コナン』の江戸川コナン役は、長年にわたる代表的な出演作です。
なぜ一人二役になったのか?
日本テレビの金曜ロードショー公式コラムでは、作品に登場する女性たちを人生の異なる年代として描く構想と、一人二役の関係が紹介されています。
キキとウルスラを同じ声優が演じることで、2人の間にある共通性が自然に感じられます。
ただし、物語上で2人が同一人物という意味ではありません。
キキは魔女としての修行に向き合う13歳。ウルスラは絵描きとしての自分の道を探す18歳です。
異なる個性を持ちながら、どちらも自分の才能と向き合っているという共通点があります。
高山みなみの演技を意識して見直すと、キキの不安定さとウルスラの落ち着いた雰囲気の違いも、作品の楽しみ方の一つになります。
【絵のモデルを検証】ウルスラの絵は青森の中学生が作った実在の版画だった
ウルスラについて調べると、もう一つ驚くべき事実があります。
それは、森の小屋に飾られている印象的な絵に、実在する作品のモデルがあることです。
元になったのは1976年制作の教育版画
作品の原型となったのは、八戸市立湊中学校の養護学級の生徒たちが共同制作した版画です。
作品名は、
『虹の上をとぶ船 総集編Ⅱ 星空をペガサスと牛が飛んでいく』
です。
1976年に制作されたこの版画は、教師の坂本小九郎の指導のもと、生徒たちが力を合わせて作り上げたものです。
八戸市美術館の公式コレクションにも収蔵作品として掲載されています。
なぜ宮崎駿監督はこの絵を採用したのか?
この作品が映画に取り入れられた背景には、宮崎監督と教育版画とのつながりがあります。
Jタウンネットが青森県立美術館の学芸員に取材した記事によると、宮崎監督の妻・朱美さんの父親は、教育者であり版画家でもあった大田耕士です。
宮崎監督自身も教育版画を認知しており、その縁が作品の採用につながったと美術館の学芸員は説明しています。
元の版画と映画の絵は同じなのか?
厳密には、完全に同じものではありません。
元の版画には、映画のようにキキをモデルにした少女の顔は描かれていません。
映画では、この実在する版画の世界観をウルスラの作品として取り入れています。
つまり、映画の中でウルスラが描いた絵は、架空の画家がゼロから生み出した設定だけではなく、現実の中学生たちの創作活動から生まれたものなのです。
この事実は、作品の背景を知るうえで非常に興味深いポイントです。
【名言と作品考察】キキが魔法で飛べなくなった理由をウルスラが教えた
ウルスラの登場シーンで特に印象深いのが、キキに創作活動について話す場面です。
ここでは、ウルスラの名言と、キキが飛べなくなった理由を考えてみます。
ウルスラの名言①「描いて、描いて、描きまくる」
ウルスラの言葉としてよく知られているのが、次のセリフです。
そういう時はジタバタするしかないよ。描いて、描いて、描きまくる。
この言葉は、キキが飛べなくなったと打ち明けたときに語られます。
ウルスラは、絵が描けなくなったとき、自分がどうやってその壁に向き合ったのかを説明します。
大切なのは、何もしないまま諦めることではなく、まずは試行錯誤を続けることです。
しかし、努力を続けてもどうにもならない場合には、いったん距離を置くことも必要だと話します。
ウルスラの名言②「描くのをやめる」という選択
ウルスラは、描けないときには散歩をしたり、景色を眺めたり、昼寝をしたりして、何もしない時間を作ることも勧めます。
これは、最初の「描きまくる」という言葉と矛盾するように感じる可能性があります。
しかし、2つの言葉は一つの考え方につながっています。
- まずは自分にできることを試す。
- それでもうまくいかなければ、一度立ち止まる。
- 自分の気持ちが戻るまで待つ。
- 再びやりたいと思えたときに取り組む。
ウルスラは、努力だけを強制しているわけではありません。
頑張ることと休むこと、その両方を自分の状態に合わせて選ぶことを伝えているのです。
キキが魔法で飛べなくなった本当の理由は?
キキが飛べなくなる現象について、作品内では魔法の力が弱まったことが描かれています。
同時に、ジジの言葉が分からなくなるという変化も起きます。
物語では、仕事での疲れ、人間関係のすれ違い、自信の喪失など、さまざまな出来事が重なっていきます。
重要なのは、魔法が使えなくなった原因を、単純な体調不良や一つの事件だけに結びつけないことです。
キキは、それまで当たり前にできていたことができなくなり、自分が何者なのかさえ分からなくなっていきます。
これは思春期の成長や、初めての仕事で経験する挫折を象徴する描写として読むことができます。
ウルスラ自身も、絵を描けなくなった経験を持っています。
2人が共有しているのは、魔法と絵という違いを超えた「自分の才能を信じられなくなる苦しさ」です。
ウルスラは魔法を取り戻す呪文を教えたのではありません。キキがもう一度、自分自身と向き合うための考え方を示したのです。
【魔女の宅急便ウルスラに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:ウルスラは何歳ですか?
A1:日本テレビの金曜ロードショー公式コラムでは18歳と紹介されています。主人公キキの13歳より5歳年上です。
Q2:ウルスラとキキの声優は同じですか?
A2:同じです。どちらも声優の高山みなみが担当しています。キキとウルスラの性格や年齢に合わせた演じ分けが見どころです。
Q3:ウルスラが描いた絵のモデルは実在しますか?
A3:実在します。1976年に八戸市立湊中学校の養護学級の生徒たちが共同制作した版画『虹の上をとぶ船 総集編Ⅱ 星空をペガサスと牛が飛んでいく』が原型です。現在は八戸市美術館の公式コレクションにも掲載されています。
まとめ:ウルスラはキキの未来を照らす重要な存在
『魔女の宅急便』のウルスラは、単なる脇役の画家ではありません。
18歳という年齢で、自分の表現を探しながら生活する彼女は、13歳のキキが成長していくうえで大きな意味を持つ人物です。
特に注目したい要点は次の5つです。
1. 人物像: 森の小屋で絵を描く18歳の画家志望。
2. キキとの関係: 挫折を経験した者同士として心を通わせる友人。
3. 声優: 高山みなみがキキとウルスラを一人二役で演じている。
4. 絵のモデル: 青森県の中学生たちが制作した実在の教育版画。
5. 物語での役割: 自分の才能を信じられなくなったキキに、努力と休息の大切さを伝える。
ウルスラの魅力は、何でもできる完璧な人物ではないところにあります。
彼女自身も悩み、苦しみ、絵を描けなくなった経験を持っています。それでも自分の道を探し続けているからこそ、キキにかける言葉には説得力があります。
なお、2026年11月25日には『魔女の宅急便』の4K UHD発売も予定されています。作品を改めて見直す際には、ウルスラの登場シーンや森の小屋での会話にも注目してみてください。
ウルスラという人物を知ると、この映画は魔女の少女が空を飛ぶ物語だけではなく、誰もが自分らしさを探しながら成長していく物語として、また違った表情を見せてくれます。