北海道東部に位置する釧路市は、日本最大級の湿原、特別天然記念物のマリモ、港町ならではの海鮮グルメで知られる道東の中核都市だ。一方、人口減少や基幹産業の縮小といった課題も抱えている。観光地としての華やかなイメージだけでは、現在の釧路市の姿は見えてこない。
2026年11月時点で確認できる最新の住民基本台帳によると、釧路市の2026年9月末人口は14万9,518人。前年同月から2,649人減少し、15万人を下回る状況が続いている。その一方、沿岸部は夏でも涼しく、6〜8月には海霧を含む霧が頻繁に発生する独特の気候を持つ。釧路湿原国立公園、阿寒湖、和商市場、幣舞橋などの観光資源も充実している。
人口減少の背景から、観光スポットの見どころ、2026年の最新交通情報、生活費、移住後の暮らしまで、公的統計と行政・観光機関の発表をもとに釧路市の実像を整理する。
【2026年9月末人口は14万9,518人】釧路市の人口推移と減少が続く理由

最新人口は15万人を下回る14万9,518人
釧路市が2026年10月8日に更新した住民基本台帳人口によると、2026年9月末現在の総人口は14万9,518人だった。
内訳は日本人住民が14万7,788人、外国人住民が1,730人。世帯数は9万237世帯となっている。
人口動態を見ると、対前月では259人減、対前年同月では2,649人減だ。1年間で約1.8%の人口が減った計算になる。
2026年7月には北海道新聞も釧路市の人口が15万人を下回ったことを報じている。15万人割れは約66年ぶりの水準とされ、道東の拠点都市にとって大きな節目となった。
人口減少は単なる数字の変化ではない。買い物、公共交通、医療、教育、地域の雇用など、日常生活を支える仕組みに直接関係する問題だ。
1980年の人口ピークから続く長期的な減少
釧路市の人口推移をさかのぼると、1980年(昭和55年)に22万7,234人を記録した後、減少傾向に転じている。
釧路市の人口に関する行政資料では、2015年の人口は17万4,742人。2026年9月末の14万9,518人と比較すると、約10年間で約2万5,000人減少したことになる。
1980年のピークと2026年9月末を比較すれば、人口は約34%減少している。かつての工業・水産業の発展を背景に成長してきた都市が、産業構造の変化と少子高齢化によって縮小局面に入っている。
人口減少の主な理由は産業縮小と若年層の流出
人口減少には、自然減と社会減という2つの側面がある。
自然減は出生数が死亡数を下回ることによる人口減少だ。社会減は転出者が転入者を上回ることで発生する。釧路市では、少子高齢化に加えて、進学や就職をきっかけに若い世代が札幌圏や首都圏などへ移る問題が指摘されている。
背景には、地域経済を支えてきた基幹産業の変化がある。
- 水産業:漁業を取り巻く環境の変化や水揚げの変動により、関連産業にも影響が及んでいる。
- 石炭産業:かつての主要産業だった石炭関連事業は、長期的な産業構造の変化に直面してきた。
- 製紙業:日本製紙釧路工場は2021年9月に事実上撤退し、地域の雇用や製造業に影響を与えた。
- 若年層の転出:希望する進学先や職種を求めて市外へ移動する人が多く、地域内での人材循環が課題になっている。
2026年7月の北海道新聞の報道では、2005年の合併で釧路市に加わった旧阿寒町、旧音別町でも人口減少が深刻化し、旧音別町では約5割、旧阿寒町では約4割の減少が取り上げられた。
とりわけ、人口が少ない地域では商店や公共交通、地域活動の担い手を維持することが難しくなる。市街地と周辺地域では、人口減少の影響の現れ方も異なる。
人口減少は観光都市としての魅力と矛盾するのか
興味深いのは、釧路市が観光資源に恵まれながら、人口減少という課題を抱えている点だ。
観光客が訪れることと、住民が地域で働き続けられることは別の問題である。自然景観や海産物が魅力的でも、それを支える雇用、教育、医療、交通が十分でなければ、若い世代の定着には結び付きにくい。
釧路市の今後を考えるうえでは、観光客数だけでなく、観光関連の雇用が地域にどれだけ残るか、地元企業の事業継続や新しい産業が育つかという視点も欠かせない。
【釧路湿原・阿寒湖・幣舞橋】2026年に訪れたい観光スポットと見どころ
釧路市の観光は、大きく分けると湿原を中心とした自然体験、阿寒湖周辺の自然・文化観光、中心市街地の食と景観という3つの楽しみ方がある。
市域は約1,363平方キロメートルと広く、釧路駅周辺と阿寒湖温泉では移動距離も大きく異なる。旅行日程を組む際は、各観光地を同じエリアとして考えないことがポイントだ。
釧路湿原国立公園|日本最大の湿原が生み出す絶景
釧路湿原国立公園は、釧路市を代表する観光資源の一つ。1987年7月31日に国立公園に指定され、広大な湿原と蛇行する釧路川、周囲の森林が特徴的な景観をつくり出している。
湿原の魅力は、展望台から眺める雄大な景色だけではない。タンチョウやキタサンショウウオなどの貴重な生物が生息し、季節によって異なる植物や野鳥の姿を観察できる。
初めて訪れる人におすすめしたい代表的なスポットは次のとおりだ。
- 釧路市湿原展望台:館内展示で湿原の生態系を学べる。屋上展望台から広大な景色を眺められるほか、約2.5キロメートルの周回木道もある。
- 細岡展望台:釧路川の大きな蛇行と湿原の広がりを一望できる。夕日を眺める場所としても知られる。
- 温根内木道:湿原の植生や野鳥を間近に観察できる散策路。自然を歩いて楽しみたい人に向いている。
- サルボ展望台・サルルン展望台:塘路湖などの湖沼群と湿原を見渡せる展望スポット。
- コッタロ湿原展望台:広大な湿原の原風景を楽しめる場所で、タンチョウなどの野生生物に出会える可能性もある。
体験型観光を希望するなら、釧路川のカヌーツアーも候補になる。特に塘路湖から細岡方面の区間は、比較的穏やかな流れを楽しめるコースとして知られている。
環境省によると、釧路湿原では自然環境の再生事業も進められている。湿原面積の減少やハンノキ林の増加などに対応するため、河川の蛇行復元なども取り組まれてきた。
阿寒湖とマリモ|釧路市が誇る特別天然記念物
阿寒湖は、釧路市阿寒町に位置する代表的な観光地だ。湖のシンボルともいえるのが、国の特別天然記念物に指定されている阿寒湖のマリモである。
マリモは水中で生活する緑藻類の一種。一般的には球状の姿が有名だが、実際には岩に付着するものや、糸状の状態で湖底を漂うものなど、さまざまな形態がある。
特に注目すべきなのは、大型の球状マリモが群生する環境が阿寒湖に存在することだ。釧路市の公式資料によると、マリモは大正10年(1921年)に国の天然記念物、昭和27年(1952年)に特別天然記念物に指定された。
観光客がマリモを間近で観察できるのが、阿寒湖に浮かぶチュウルイ島のマリモ展示観察センターだ。湖畔から遊覧船に乗って島へ向かい、水槽展示などを通じてマリモの生態を学べる。
遊覧船は湖上から雄阿寒岳や雌阿寒岳などの景観を楽しめることも魅力。運航期間は例年4月下旬から11月ごろまでで、天候や季節によって運航状況が変わる。
阿寒湖周辺では、湖畔散策やボッケ遊歩道、阿寒湖畔ビジターセンターもおすすめだ。加えて、阿寒湖アイヌコタンではアイヌ文化や伝統工芸、舞踊などに触れられる。
幣舞橋|世界三大夕日で知られる釧路のシンボル
釧路市中心部で外せない観光スポットが幣舞橋(ぬさまいばし)だ。
釧路川の河口近くに架かるこの橋は、北海道三大名橋の一つとして知られている。1889年に初めて架橋され、現在の橋は5代目。橋の欄干には四季を表現した4体のブロンズ像が並ぶ。
幣舞橋が特に有名なのは、釧路の夕日を眺められる場所だからだ。太平洋に沈む夕日が釧路川の水面を照らし、空と街並みがオレンジ色から赤紫色へ変化していく。
秋分の日の前後は、夕日が川の中央付近に沈むように見える時期として知られている。北海道農政事務所も、秋から冬にかけて空気が澄み、釧路の夕景が美しく見える季節として紹介している。
夕日を見た後は、釧路フィッシャーマンズワーフMOO周辺を歩くのもよい。港町らしい景色と飲食店を一度に楽しめる。
釧路市の主要観光エンティティと見どころの関係
釧路市の観光地は、それぞれ異なる魅力を持っている。訪問先を選ぶ際は、自然観察、文化体験、食、景観のどれを重視するかで判断すると計画を立てやすい。
| 主要エンティティ | 釧路市との関係 | 主な見どころ・体験 | おすすめの楽しみ方 |
|---|---|---|---|
| 釧路湿原国立公園 | 市を代表する自然資源 | タンチョウ、展望台、湿原、カヌー | 自然観察や散策 |
| 阿寒湖・マリモ | 阿寒地域の象徴的な自然資源 | 特別天然記念物、遊覧船、展示観察センター | 湖上観光と自然学習 |
| 阿寒湖アイヌコタン | 地域の歴史・文化を伝える場所 | アイヌ文化、伝統工芸、舞踊 | 文化体験と街歩き |
| 幣舞橋 | 釧路中心市街地のシンボル | 四季の像、釧路川、夕日 | 夕景撮影と散策 |
| 和商市場 | 港町の食文化を象徴する市場 | 勝手丼、鮮魚、海産物 | 海鮮グルメと買い物 |
この5つをすべて巡るなら、最低でも1泊2日、余裕を持つなら2泊3日がおすすめだ。市街地の観光と阿寒湖方面の観光を分けると、移動による疲労を抑えられる。
【和商市場の勝手丼と水産業】釧路の海鮮グルメが人気を集める理由
和商市場|好きな海鮮を選べる名物「勝手丼」
釧路市の食文化を語るうえで欠かせないのが、JR釧路駅から徒歩約5分の場所にある和商市場だ。
1954年に創業した和商市場は、鮮魚店や青果店、塩干物店、食事処などが集まる市場。公式サイトでは、3,000点以上の豊富な品ぞろえと年間約120万人の来場者数を紹介している。
名物は、観光客にも人気の「勝手丼」。一般的な海鮮丼のように完成したメニューを注文するのではなく、自分で好きな魚介類を選び、オリジナルの海鮮丼を作るスタイルだ。
基本的な楽しみ方は次のとおり。
- 1. ご飯を購入する:市場内で勝手丼用のご飯を用意する。
- 2. 好きなネタを選ぶ:鮮魚店を回り、食べたい魚介類を選ぶ。
- 3. 丼を完成させる:購入したネタをご飯に載せて、自分だけの海鮮丼を味わう。
ネタの種類や価格は店舗、季節、仕入れ状況によって変わる。イクラやサーモン、旬の魚など、食べたいものを少しずつ選べることが魅力だ。
市場の営業時間は基本的に8時から17時まで。日曜日は定休日だが、臨時営業する場合もあるため、訪問当日は公式の営業カレンダーを確認したい。
釧路市の水産業と港町としての歴史
釧路市は、古くから漁業と水産加工業が発展してきた都市だ。釧路港を中心に、水揚げ、加工、保管、流通といった関連産業が地域経済を支えてきた。
釧路市が2026年3月に更新した「釧路市の水産」統計資料では、2025年の水揚げ状況、市場取扱高、水産加工などに関するデータを公表している。
釧路沖は多様な魚介類が水揚げされる海域として知られ、サンマ、サケ、マス、毛ガニ、シシャモ、イクラなどが地域の食文化と結び付いている。
特に釧路の食を象徴するものとして、次の料理が挙げられる。
- 勝手丼:好きな海鮮を選んで完成させる市場名物。
- 炉端焼き:魚介類や野菜を炭火で焼き上げる港町らしい料理。
- 釧路ザンギ:釧路独自の食文化として知られる鶏の唐揚げ。
- 旬の魚介料理:サンマ、サケ、シシャモなど、季節ごとの味覚を楽しめる。
ただし、水産業が釧路の経済を支えてきた歴史と、現在の産業が抱える課題は分けて考える必要がある。漁獲量や水揚げ金額は年によって変動し、漁業を取り巻く環境も変化している。
観光客にとっては新鮮な海産物が魅力である一方、地域経済にとっては漁業資源の維持、水産加工業の競争力、働き手の確保が重要なテーマとなっている。
【夏は涼しいが海霧が多い】釧路市の気候・アクセス・観光モデルコース
夏の釧路は本当に涼しい?気象データで確認
釧路市の特徴としてよく知られているのが、夏でも気温が上がりにくい冷涼な気候だ。
釧路市の公式案内によると、沿岸部は一年を通して冷涼で、特に6〜8月は霧が多い。夏でも20度に満たない日が珍しくなく、25度以上の夏日は少ない。
釧路地方気象台が公表する1991〜2020年の平年値でも、6〜8月の夏日は平均7.2日、真夏日は平均0.3日とされている。
霧についても、気象庁の資料では釧路は札幌や東京と比べて発生頻度が高く、特に6月、7月、8月は月の半分程度の日で霧が観測される。
この現象は、冷たい海水の影響を受ける沿岸部の気象と関係している。暖かく湿った空気が冷やされることで霧が発生し、海岸付近や市街地に流れ込むことがある。
ただし、釧路市全体が同じ気候ではない。市域には内陸部の阿寒地域も含まれており、沿岸部とは異なって30度以上の気温を記録することもある。
霧の街は日照時間が少ないという誤解
釧路は霧が多いことから、年間を通じて曇りや雨が多い街という印象を持たれがちだ。しかし、これは必ずしも正しくない。
釧路地方気象台によると、夏は霧や曇天の影響で日照時間が少なくなる一方、秋から春にかけては比較的晴天の日が多い。年間の日照時間は1,957.6時間で、札幌や東京と比較しても多い水準にある。
つまり、釧路の特徴は単純に日照が少ないことではなく、夏は冷涼で霧が多く、秋から春は晴天に恵まれやすいという季節差にある。
夏の避暑を目的に訪れるなら、薄手の長袖だけでなく、風を通しにくい上着や雨具も用意しておきたい。
釧路市へのアクセス|釧路空港から釧路駅まで約45分
釧路市への主なアクセス手段は、航空機とJR、都市間バス、自動車だ。
航空機を利用する場合、最寄りの空港はたんちょう釧路空港。空港から釧路駅前までは阿寒バスの空港連絡バスで約45分、釧路フィッシャーマンズワーフMOOや市役所前までは約55分が目安となる。
2026年4月1日改定後の空港連絡バス運賃は、釧路市街地の主要停留所まで大人片道1,200円。飛行機の到着便に合わせて運行されるため、旅行当日の時刻表を確認しておきたい。
阿寒湖温泉へ直接向かう場合は、阿寒エアポートライナーなどの交通手段も選択肢になる。釧路駅から阿寒湖温泉までは車で約1時間30分、路線バスでは約2時間が目安だ。
釧路湿原については、展望台や木道が複数のエリアに分かれている。釧路駅を起点に主要スポットを一周するだけでも、車で約2時間30分〜3時間の移動が必要とされる。
釧路市観光モデルコース|1泊2日で主要スポットを巡る
初めて釧路市を訪れるなら、1日目に市街地と湿原、2日目に阿寒湖方面を巡る構成がおすすめだ。
【1日目:釧路市街地と釧路湿原】
- 午前8時:和商市場で勝手丼を味わい、釧路の海鮮グルメを楽しむ。
- 午前10時:釧路市湿原展望台へ移動。展望室や木道から湿原の景観を観察する。
- 午後:時間に余裕があれば細岡展望台方面へ。釧路川の蛇行や湿原の広がりを楽しむ。
- 夕方:市街地へ戻り、幣舞橋から夕日を眺める。
- 夜:炉端焼きなど釧路ならではの料理を味わう。
【2日目:阿寒湖とアイヌ文化】
- 午前:阿寒湖方面へ移動。湖畔の景色や自然を楽しむ。
- 昼:遊覧船に乗り、チュウルイ島のマリモ展示観察センターを訪れる。
- 午後:阿寒湖畔ビジターセンターやボッケ遊歩道を散策する。
- 夕方:阿寒湖アイヌコタンを訪れ、アイヌ文化や伝統工芸に触れる。
このモデルコースはレンタカーを利用すると移動しやすい。公共交通機関でも訪問できるが、湿原の各展望台や周辺施設を複数巡る場合は、バスの運行時間に合わせた計画が必要になる。
2026年11月に確認したい観光上の注意点
2026年は、釧路湿原国立公園の一部施設で改修工事に伴う通行規制が行われている。
環境省釧路自然環境事務所の発表によると、温根内木道は2026年9月28日から一部区間が通行止めとなり、2027年2月12日までの工事が予定されている。
また、夢ヶ丘展望台手前の階段も2026年10月9日から当面の間閉鎖されている。現地を訪れる際は、通常の観光案内だけでなく、環境省の最新のお知らせも確認したい。
さらに2026年10月23日には、環境省が釧路湿原国立公園の区域や公園計画の変更に関する第2次点検のパブリックコメントを開始した。意見募集期間は11月21日までで、自然環境の保全と観光利用の両立に向けた検討が進んでいる。
【釧路市の住みやすさと移住の実態】生活費・仕事・交通のメリットと課題
釧路市は住みやすい?評価が分かれる理由
釧路市の住みやすさは、何を重視するかによって評価が変わる。
夏の暑さが苦手な人にとって、冷涼な気候は大きなメリットだ。海産物をはじめとする食の豊かさ、自然へのアクセス、比較的ゆったりした生活環境も魅力となる。
一方、冬の寒さや暖房費、車を必要とする生活、若年層向けの就業機会などは移住前に考えておきたいポイントだ。
釧路市の都市構造に関する行政資料では、住民アンケートにおいて「ずっと住み続けたい」と回答した人が76.6%を占めたとされる。理由には、現在の住居への愛着、日常的に利用する店舗や病院・診療所が近いことなどが挙げられている。
一方、転居を考える理由としては、店舗が近くにないこと、バスなどの交通の便が良くないこと、病院や診療所へのアクセスが不便なことが挙げられた。
この結果から分かるのは、釧路市全体を一括りにして住みやすい・住みにくいと判断することの難しさだ。中心市街地と郊外、阿寒・音別地域では、日常生活の利便性が大きく異なる。
2026年公表の家計調査から見る釧路の生活費
生活費を考える際に参考になるのが、釧路市が2026年9月24日に公表した令和6年全国家計構造調査の結果だ。
1世帯当たり1か月の消費支出は、釧路市が22万8,644円。全国平均の25万1,242円を下回り、北海道平均の22万6,386円とほぼ同水準だった。
主な支出項目を比較すると、次のような特徴がある。
- 食料費:6万2,185円。全国平均の7万1,484円を下回る。
- 住居費:3万2,806円。全国平均の2万4,173円、北海道平均の2万1,299円を上回る。
- 光熱・水道費:2万2,421円。全国平均の1万8,896円より高い。
- 交通・通信費:3万4,145円。全国平均の3万5,878円と近い水準。
ここで注意したいのは、この調査が90世帯を対象とした標本調査であることだ。平均世帯人員は1.94人、世帯主の平均年齢は60.4歳となっている。
また、家計収支の対象は2024年10月と11月の支出であり、季節による変動も考慮する必要がある。したがって、22万8,644円を単身者の生活費や2026年の最新家賃相場として扱うことはできない。
それでも、全国平均より消費支出が低い一方で、住居費や光熱費は高いという特徴は興味深い。釧路市への移住を考えるなら、家賃の安さだけでなく、住宅の断熱性能や暖房方式、冬季の光熱費まで含めて比較することが大切だ。
移住するなら仕事と住居を先に確認したい
釧路市への移住では、自然環境や気候に魅力を感じる人が多い一方、仕事の確保が重要な判断材料となる。
地域の主要産業には水産業、食品加工、製造業、物流、医療・福祉、観光などがある。市の公式案内では、移住相談のワンストップ窓口として総合政策部市民協働推進課が設けられており、メール、電話、オンラインで相談できる。
移住を検討する場合は、次の点を具体的に確認したい。
- 仕事:希望する職種の求人があるか、給与水準や通勤条件が希望に合うか。
- 住宅:断熱性能、暖房設備、窓の構造、冬の光熱費を確認できるか。
- 交通:勤務先、病院、スーパーまで車なしで移動できるか。
- 医療:必要な診療科や通院先が生活圏にあるか。
- 教育:子どもの通学や進学先、習い事などの選択肢が確保できるか。
- 冬の暮らし:除雪、凍結路面、暖房費などに対応できるか。
特に住宅選びでは、夏の快適さだけで判断しないことが大切だ。沿岸部の冬は風が強く、室内の断熱性によって暖房費や体感温度が変わる。物件を見学するときは、暖房設備の種類や過去の光熱費も確認したい。
釧路市への移住が向いている人・向いていない人
釧路市は、都市部の利便性だけを求める人よりも、自然環境や地域の食文化、涼しい夏を重視する人に向いている。
移住をおすすめしやすい人
- 夏の猛暑が苦手で、冷涼な気候を重視する人。
- 釣り、野鳥観察、カヌー、登山など自然の中で過ごす趣味がある人。
- 水産業、食品加工、地域観光などの仕事に関心がある人。
- リモートワークなど、勤務地に縛られない働き方ができる人。
- 都市部の喧騒から離れ、落ち着いた生活を送りたい人。
移住前に慎重な検討が必要な人
- 一年中暖かい気候や、長い夏の日照時間を求める人。
- 車を使わずに幅広いエリアへ自由に移動したい人。
- 特定の専門職や多様な転職先を市内だけで確保したい人。
- 冬の寒さや暖房費、雪や路面凍結への対応が難しい人。
移住は観光とは異なり、毎日の買い物や通勤、通院を繰り返す生活だ。短期滞在や移住体験を通じて、夏だけでなく冬の暮らしも確認してから決めることが望ましい。
【北海道釧路市に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年現在、釧路市の人口は何人ですか?
A1:釧路市が2026年10月8日に公表した2026年9月末現在の住民基本台帳人口は14万9,518人です。前年同月と比較して2,649人減少しており、日本人住民14万7,788人、外国人住民1,730人となっています。
Q2:釧路市のおすすめ観光スポットはどこですか?
A2:代表的なスポットは釧路湿原国立公園、阿寒湖、マリモ展示観察センター、和商市場、幣舞橋です。自然観察なら釧路湿原、特別天然記念物のマリモを見るなら阿寒湖、海鮮グルメなら和商市場、夕景を楽しむなら幣舞橋がおすすめです。
Q3:釧路市は夏でも涼しいですか?
A3:沿岸部は夏でも涼しく、気象庁の1991〜2020年の平年値では6〜8月の夏日は平均7.2日、真夏日は平均0.3日です。ただし、夏は霧が発生しやすく、日照時間が少ない日もあります。市内でも阿寒などの内陸部は気温が高くなる場合があります。
Q4:釧路空港から釧路駅まではどのくらいかかりますか?
A4:阿寒バスの空港連絡バスで約45分です。2026年4月1日改定後の大人片道運賃は1,200円です。飛行機の到着時間に合わせた運行となるため、利用前に最新の時刻表を確認してください。
Q5:釧路市は移住先として住みやすいですか?
A5:夏の涼しさ、海産物の豊富さ、自然環境を重視する人には魅力的な移住先です。一方、冬の暖房費、車の必要性、希望する仕事の確保などは事前に確認したいポイントです。市の移住相談窓口では住まいや就労、移住体験に関する相談を受け付けています。
まとめ:釧路市の2026年最新事情から考える観光と移住の判断基準
【プロの結論】自然の魅力と都市の課題を両方理解することが大切
北海道釧路市は、釧路湿原国立公園、阿寒湖のマリモ、和商市場の勝手丼、幣舞橋の夕日など、全国的にも特徴的な観光資源を持つ道東の拠点都市だ。
2026年9月末の人口は14万9,518人となり、15万人を下回った。1980年の人口ピークから続く減少には、少子高齢化、若年層の転出、水産業や石炭産業などの構造変化、製紙業の撤退といった複数の要因が関係している。
その一方、夏の冷涼な気候、豊かな自然、海産物、二つの国立公園を有する地域資源は、釧路市ならではの強みだ。観光面では、湿原と阿寒湖を中心に自然体験や文化観光を組み合わせることで、1泊2日以上の充実した旅行が楽しめる。
移住を考える人にとっては、生活費の平均値だけでなく、冬の暖房費、住宅性能、通勤手段、就業機会、医療環境を総合的に判断することが重要になる。
釧路市の将来を左右するのは、観光資源の豊かさだけではない。その魅力を地域の仕事や生活の安定につなげ、若い世代が住み続けたいと思える環境を整えられるかどうかだ。
観光で訪れる人も、移住を考える人も、自然の美しさだけでなく、港町としての歴史や現在の地域課題まで知ることで、釧路市の本当の魅力が見えてくる。
主な根拠資料: 釧路市住民基本台帳・人口推移、釧路市統計資料、総務省の全国家計構造調査、気象庁釧路地方気象台、環境省、北海道新聞、和商市場公式発表。