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【さらに知っておきたい】車椅子の種類と構造による分類

長谷 莉子 長谷 莉子 • 更新: • 公開: • 読了約 12 分
目次

車椅子は、自走式・介助式・電動式という大きな分類だけでは説明しきれません。座位を保持する機能や使用場所、折りたたみ構造、スポーツ用途などによっても細分化されています。

標準型車椅子

標準型は、日常生活で広く使用される基本的な車椅子です。一般的な自走用と介助用があり、座面、バックサポート、アームサポート、フットサポート、車輪、ブレーキなどで構成されています。

身体に合わせて各部を調整できるモジュラー型もあります。座幅や座面の高さ、アームサポートなどを調整できるため、身体状況に応じた適合がしやすい点が特徴です。

折りたたみ式車椅子

フレームや背もたれなどを折りたたんで収納できる車椅子です。自動車への積み込みや保管に便利で、外出や通院などにも使われます。

折りたたみ式は自走式にも介助式にもあります。折りたたみ機能があるからといって、必ず介助用というわけではありません。

リクライニング式車椅子

バックサポートの角度を変えられる車椅子です。背もたれを倒すことで、座った姿勢を維持することが難しい人の姿勢調整を支援します。

長時間の着座で姿勢が崩れやすい場合や、身体状況に合わせて背中の角度を調整したい場合に検討されます。

ティルト式車椅子

座面とバックサポートの角度を保ったまま、座面と背もたれを一体的に傾ける車椅子です。リクライニング式との大きな違いは、背もたれと座面の角度関係を維持できることです。

姿勢を安定させながら身体全体の傾きを調整したい場合に適しています。体圧分散や姿勢保持を考えるうえでも重要な機能です。

スポーツ用車椅子

バスケットボールやテニス、陸上競技などで使用される競技用車椅子です。競技種目に合わせてフレームや車輪、重心位置などが設計されています。

日常生活用と比べて機動性や旋回性能を重視する製品が多く、競技に応じて車輪の角度や形状も異なります。

浴用・室内用車椅子

浴室やトイレ、室内での移動を想定した車椅子です。浴用タイプは水濡れや腐食への対策が施され、トイレで使用できるシャワーキャリーや便器に対応する製品もあります。

室内用は狭い場所での方向転換や移乗を考慮し、小回りの利く構造になっているものがあります。

リクライニングとティルトはどう違う?

両者は似た機能に見えますが、身体を支える仕組みが異なります。

- リクライニング:背もたれの角度を変える。
- ティルト:座面と背もたれの角度を保ちながら、全体を傾ける。
- ティルト・リクライニング:両方の角度調整機能を備える。

JIS T 9201では、これらを異なる機構として定義しています。単に背もたれが倒れるかどうかだけでなく、座面との角度関係まで確認することが、適切な製品選びにつながります。

【購入・レンタル前に確認】車椅子の選び方とチェックポイント

車椅子の名称

車椅子選びで大切なのは、価格や見た目、軽さだけで判断しないことです。利用者の身体機能や座る姿勢、移動する環境、介助する人の負担などを総合的に考える必要があります。

1. シート幅とシート奥行きを確認する

シート幅は、お尻の幅に合わせて選びます。狭すぎると身体が圧迫され、広すぎると姿勢が不安定になったり、左右のアームサポートに手が届きにくくなったりします。

シート奥行きも重要です。長すぎると膝裏が圧迫され、短すぎると太ももを十分に支えられない場合があります。クッションを使用する場合は、その厚みも含めて寸法を確認します。

2. バックサポートとアームサポートの高さを見る

背もたれは、利用者の体幹の安定性や姿勢保持能力に合わせて選びます。背中を十分に支えられる高さが必要ですが、腕を動かすときに肩や肩甲骨の動きを妨げないことも大切です。

アームサポートは、肘を自然に置ける高さが基本です。高すぎると肩が持ち上がり、低すぎると身体が傾きやすくなります。ベッドやトイレへの移乗が多い場合は、跳ね上げ式や着脱式も検討できます。

3. フットサポートとレッグサポートを調整する

足が床に引っ掛かったり、足先が地面に接触したりしないように、フットサポートの高さを確認します。

足台が高すぎると太ももに圧力がかかりやすく、低すぎると足が床に接触する可能性があります。左右の脚の長さや関節の動きに違いがある場合は、個別の調整も必要です。

立ち上がりや移乗を頻繁に行う場合は、フットサポートが跳ね上がるか、レッグサポートが開閉できるかも確認しましょう。

4. 自走できるか、介助が必要かを判断する

腕や手の筋力、握力、関節の動きなどを確認し、本人がハンドリムを操作できるかを判断します。

自走できる場合でも、長時間の移動や坂道では介助が必要になることがあります。そのため、自走式を選ぶ場合でも、介助ブレーキを追加できるか、介助者が押しやすい構造かを確認すると安心です。

厚生労働省の補装具に関する資料でも、自走用車椅子への介助ブレーキについて、利用環境や目的に応じた必要性が検討されています。本人の操作能力だけでなく、外出先の道路状況や介助の場面も選定条件になります。

5. 使用場所と移動環境を確認する

車椅子を主に使用する場所によって、適した車輪やフレームの構造は異なります。

- 屋内中心:小回りが利き、廊下やドアを通りやすいサイズ。
- 屋外中心:路面の凹凸や段差に対応しやすい車輪構造。
- 通院・旅行:折りたたみやすさ、車への積載性、重量。
- 長距離移動:本人の体力や移動距離に合わせた電動機能。
- 浴室・トイレ:防水性や移乗のしやすさ、衛生面。

特に確認したいのが、玄関、廊下、トイレ、エレベーターなどの幅です。車椅子本体が通れるだけでなく、方向転換や介助者が横に立つスペースも必要になります。

6. 重量・折りたたみ・車への積載性を確認する

車椅子を自動車に積み込む場合は、本体重量だけでなく、折りたたんだときの寸法も確認します。着脱式の大車輪を備えたモデルなら、収納時の大きさを抑えられる場合があります。

電動車椅子ではバッテリーを含む重量が重要です。自宅の保管場所や充電設備、車への積載方法まで考えて選ぶ必要があります。

7. クッションと座位保持機能を確認する

車椅子は移動するための道具であると同時に、座位姿勢を維持するための福祉用具でもあります。

長時間座る人や、身体の傾きが生じやすい人は、車椅子用クッションや姿勢保持用の支持具を検討します。クッションは単に柔らかければよいわけではなく、体圧分散、姿勢、皮膚の状態などに合わせて選ぶ必要があります。

身体に合わない車椅子を使い続けると、姿勢の崩れや局所的な圧迫につながることがあります。必要に応じて理学療法士、作業療法士、福祉用具専門相談員などに相談し、実際に座った状態で調整することが大切です。

車椅子の部品を見分けるための簡単な確認方法

車椅子の部品名を覚えるときは、どこに付いているかだけでなく、誰が何のために使うかを基準にすると理解しやすくなります。

- 後ろから押すために握る部分:ハンドグリップ
- 後輪の外側にあるリング:ハンドリム
- 座って背中を預ける部分:バックサポート
- 肘を置く部分:アームサポート
- 足を乗せる板:フットサポート
- 脚の後ろ側を支える部分:レッグサポート
- 前方の小さな車輪:キャスター
- 後方の大きな車輪:駆動輪または主輪
- 車椅子を停車状態で固定する部分:駐車用ブレーキ
- 段差への対応を補助する足踏み部分:ティッピングレバー

車椅子を初めて扱う場合は、名称を覚えただけで操作しないことも大切です。特にブレーキ、フットサポート、折りたたみ機構などは、製品によって操作方法が違います。利用者に確認し、取扱説明書に従って扱いましょう。

【車椅子の名称】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:車椅子の正式名称は何ですか?
A1:一般的な名称は「車椅子」または「車いす」です。専門的な分類では、手動車椅子、電動車椅子、ハンドル形電動車椅子などと呼ばれます。JIS T 9201は手動車椅子、JIS T 9203は電動車椅子、JIS T 9208はハンドル形電動車椅子を対象としています。

Q2:車椅子の後ろにある大きな車輪の名前は何ですか?
A2:自走用車椅子では「駆動輪」と呼びます。介助用車椅子では、専門的には「主輪」と呼びます。日常会話では、どちらも後輪や大車輪と呼ばれます。

Q3:ハンドリムと駆動輪は同じものですか?
A3:異なります。駆動輪は後方の大きな車輪そのもので、ハンドリムはその外側に取り付けられたリングです。利用者がハンドリムを操作すると駆動輪が回転します。

Q4:フットサポートとレッグサポートの違いは何ですか?
A4:フットサポートは足を乗せる板、レッグサポートは膝下から足首付近の脚を支える部品です。両者が一体化している車椅子もあります。

Q5:自走式と介助式の見分け方は?
A5:一般的には後輪の外側にハンドリムがあるかどうかが分かりやすい目安です。自走式はハンドリムを備えた大きな後輪が特徴で、介助式は介助者が押すことを主目的とするため、ハンドリムがない製品が多くなっています。ただし、例外的な構造もあります。

Q6:電動車椅子の操作部分の名称は何ですか?
A6:ジョイスティック式の場合は「操作レバー」や「操作ボックス」と呼びます。そのほか、電源スイッチ、速度切替スイッチ、コントローラー、バッテリー、駆動モーターなどがあります。

Q7:車椅子のブレーキにはどんな種類がありますか?
A7:主に駐車用ブレーキと制動用ブレーキがあります。駐車用は停車中の固定、制動用は走行中の減速が目的です。介助者が操作するキャリパーブレーキやフットブレーキなどもあります。

Q8:車椅子を選ぶときに最も重要なことは何ですか?
A8:利用者の身体寸法と座位姿勢、移動能力、使用環境に合っていることです。座面幅・奥行き、背もたれの高さ、足台の位置、移乗のしやすさ、介助者の負担まで確認して選びましょう。

まとめ:車椅子の名称を知ることが安全で快適な利用につながる

車椅子の名称は、座面を意味するシート、背もたれを意味するバックサポート、ひじ掛けのアームサポート、足を乗せるフットサポートなど、身体を支える部品を中心に覚えると理解しやすくなります。

特に覚えておきたいのは、後輪の駆動輪と前輪のキャスターの違い、ハンドリムと車輪の違い、フットサポートとレッグサポートの違いです。これらは車椅子の操作や選定、介助の場面で頻繁に使われる名称です。

2026年現在も、車椅子の基本的な構造や分類を理解するうえでは、JIS T 9201の手動車椅子、JIS T 9203の電動車椅子、JIS T 9208のハンドル形電動車椅子という規格上の区分が参考になります。日本規格協会の公開情報では、これらの規格について、それぞれの規格履歴や有効状態を確認できます。

【プロの結論】車椅子を選ぶ際に優先すべきなのは、部品の数や機能の多さではありません。利用者本人が無理なく座れること、安全に移動できること、必要な場面で介助しやすいことの3点です。自走式・介助式・電動式の違いを理解したうえで、座面や背もたれ、車輪、ブレーキなどを身体状況に合わせて調整することが、長く快適に使える車椅子選びにつながります。

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コンテンツディレクター 長谷 莉子
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